教師が生徒を口説いて良いんですか?

闇野ゆかい

第1話教師……ですよね?

カラスのうるさい鳴き声が校舎の外から聞こえる。

紅く眩しい夕陽が教室に差し込んで、部活の顧問である好狭野晶よさのあきら教諭の恍惚とした顔を照らしている。

「あ、あのっ……」

「何かしら?」

「ですから……」

好狭野先生の妖艶さを纏わせた声が耳もとで響く。

私の背中に回された腕が背中を支え、イヤらしい手付きで背中を撫でる好狭野先生の指先に悪寒を感じる。

背中に回してない彼女のもう片方の腕がスカートの上を滑っている。

太腿を撫で回している彼女の五指も相まって、悲鳴を出そうにも喉に引っ掛かって悲鳴をあげられない。

私を机の上に腰を下ろさせ、左側に立ち寄り添うような体勢をつくる好狭野先生の弾力がある豊満な胸を押し当てられて、頬が、顔全体が引き攣る。

「私の、身体を……撫で回すのを、やめてほしっ……いっ!」

彼女に吐息を耳に吹きかけられ、ブルっと身体が震えた。

「好きな人に触れたいって思うのは、そんなに変かな?汐嶋さん」

「変っ……じゃない、ですけどぉっ……好狭野先生の触り方ぁっ、異様だってぇっ……」

彼女に背中や太腿、耳を責められ、変な感覚が身体を襲い、喘ぎそうになっている。

かれこれ、十五分は彼女のイヤらしい手付きに翻弄されている。

好狭野先生カノジョは、本当に……教師だろうか、と疑いを向けてしまいたくなる人物だ。


どこかの少女漫画に出てくるクズ教師と雰囲気がどことなく似ていると、言えなくもない好狭野先生カノジョ


今年に入ってから、やたらと好狭野先生が私に付きまとってくる。

私が所属する部活の顧問に名乗り出た理由わけを問いただそうと試みるがかわされている。

学生時代にバンドをやっていたから、としか答えてくれない。

確かに、楽器の腕前は私らとは比べものにならないほどではあるのだ。


私は、交際相手が異性だんしだろうと同性じょしだろうが別に気にはしない。

こだわりはない、交際相手に対して。

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