第02話 窓羽祭上の妖精 01

「ありがとう」

 手渡された花束には、白い紙がはさまれていた。

(明日も期待しています!)


 三日連続で遅刻してしまった。日本から、ルシアクタまで移動するのに二時間も掛かってしまう。……時空間ゲート内は静かなので、乗り物に乗って本を読んでいればいい。遅刻の罪悪感もないし。


 ――それだけお金があるなら、なぜ自由に生きないの?

 やることが無いから。幸せなんだけど、暇はこたえる。時間の無駄使いは正しいのだと最近知った。

 貧困に苦しむ人のことを思えば、胸を痛めるが……出来る事は喜捨きしゃすることか? そうではない気がする。


「明日の予定は?」

「シルヴィネイアに寄った後、街に行きます」

「じゃあ、明日街で見掛けたら声を掛けてね……じゃあね」


 ***


 リナリーさんと別れてから三十分、徒歩でシルヴィネイアまで歩いた。途中、橋の上で子供がボールを蹴って遊んでいた。


 森に着いた……。


「っ!?」

「オクス! 久しぶりなの~ん!」

 リーラは顔面近くまで、すっ飛んで来た。

「リーラちゃん、おっす! なんか嬉しそうだね」

「さっき、すずめさんがミミズ食べてたの! すごいな~って!」

 ――えっ、

「そっかそっかー」

「オクス! 今日はどこかにお出掛けするの?」

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