まだ見ぬ文房具を求めて

紅猫

第1話

我が名はR.B.ブッコロー、しがないミミズクである。


「……(じー)」

「……(汗)」

 我が入っている籠の前にたたずむ人間に、じっと見つめられること早3分。我は我慢の限界を迎えようとしていた。

「……一体何なんだ」

「しゃべ…?!」

 目の前の人間は目を丸くし、言葉を途中で失っていた。嗚呼、またこの反応だ。出会った人間は皆、驚く反応を見せた後、怖がり、気味悪がり、軽蔑の目を向けてくるのだ。

 それもそのはず。ミミズクが人間の言葉をしゃべっているのだから。まぁ、それ以前にミミズクにしてはありえないような派手な羽色、脇には人間の言葉で書かれた本を抱えている時点で普通ではないな。


きっとこの人間も今までと同じ…。


「私、子供の頃に読んだ“しゃべるフクロウを相棒に世界を旅する魔法少女”の物語に憧れて魔法使いになったんです“だけど、どこに行っても、喋る動物なんているわけがないて言われて…。でも、いま私の目の前には!人の言葉をしゃべるフクロウが!!店主さん、お願いです。このフクロウを私に譲ってくださいませんか?!」

「?!?!(ブワァァ)」

目の前にいる人間が突然大声で語りだしたことに驚き、体中の羽が勝手に広がってしまう。

「お、お嬢さん。落ち着いて―」

「これが落ち着いていられますか!!小さいころから夢見ていたことが今叶おうとしていて―」

 興奮が止まることを知らない人間と、なんとか落ち着かせようとする店主。

 我がこのやかましい人間の手にわたるか否かはおいといて、一言言わせてほしい。






「我はフクロウではない、ミミズクだ!!」

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