第2話 テスト?ハイスペックなので…ね?
「――やれやれだぜ…」
数学の試験が終わり、カンッとオレは少し音を立ててシャーペンを置いた。
入学式の翌日、新入生は朝から英語、国語、数学の3科目の実力テストを受けさせられていた。オレは英語には自信があった。
中3の6月で英検2級受かったし、高校入試でも98点、オレ余裕だな。
なんだか先月後半に模擬授業なんてものがあったらしいけど、まぁ大丈夫だろ。行ってないけど。
第1回実力テスト結果
英語22点 国語32点 数学13点
学年順位 304人中 293位
「んなっ!?」っという反応をもちろんオレはしたはずだ。あの自信があったのだから英語が上手くいかなかったのは誤算である。
しかし、オレは結果を見ても悟りを開いた笑顔であった。テスト中にこうなることが分かっていたのだ。
1限目 自信たっぷりの英語にて
「おかしい…問題が…分からない…」
それもそのはず、今回の実力テストは3月に1週間行われた模擬授業が範囲なのである。
しかし、オレは季節外れのインフルエンザで模擬授業を1度も受けることができなかった。
「へ、へぇ〜やるじゃん。長文問題がのっけから2題、単語空欄補充が1題、文章並び替え問題が1題…質問文も全部英語っと…」
……とりあえず諦めるか。1限目、オレは捨て教科として英語を選んだ。
気を取り直して2限国語。
「オレ、国語だけは昔から苦手なんだよなぁ。古文とか漢文とか最後まで意味わからんかったなぁ。でも国語だし現代文のテストだろ?現代文はなかなかいけたし、まぁ点数はとれるだろ」
いざ問題は、1問目現代文…2問目こぶ…ん?古文?…3問目は、か、漢文?オレの大敗北が決定した瞬間である。
……とりあえず諦めるか。2限目、オレは捨て教科として国語も選んだ。
何とかするしかない3限目数学
「中学後半から証明とかいうのに苦しめられたけど、なんだかんだ9割は低くても取れてたしなぁ。まぁぼちぼちな出来にはなるだろ」
……宇宙って広いんだな。
オレがテストの問題をめくって初めて思った感想だ。
大問1の簡単な計算問題3問が分かる以外、オレは見たことの無い新種の式やそれを含む問題文を眺めながら無限に広がる大宇宙を体感していた。
気づけば終わりを知らせるチャイム。
――1時間の宇宙旅行はあっという間に終わりを告げた。
今まで3位以下をほとんど知らないオレにとっては屈辱的な結果である。
293位。
ビリから数える方が圧倒的に早い。
……オレ、母校の中学1位で卒業したハイスペックじゃなかったっけ?
井の中の蛙を体感した瞬間であった。
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