アンドロイドとおっさんの365日

佐伯みのる

プロローグ

鉄【くろがね】の墓地、という場所がある。 近年、世界中で爆発的に増え続けている自立歩行ロボット。人々の生活をお手伝いしたりする家庭用の他にも、医療用、工業用、商業施設用と様々な分野に広がっている。研究も日々進んで、今では人間と遜色ない動きをする。そのあたりから、徐々にロボットは【アンドロイド】と呼ばれるようになった。

だが、ロボットやアンドロイドと名称はあっても、そもそもは人間が作った【モノ】だ。メンテナンスはすれど、いつか耐久年数を超えたものから不具合を出し、壊れていき、そういったものが不法に廃棄されている鉄屑まみれの街。それが、鉄の墓地。

鉄むき出しのロボットのように、人工皮膚で覆った人間と見紛う程のアンドロイドも、その場所で長期間の風雨に曝され、人工皮膚は剥がれ落ち、まるで人が白骨化するかのように鉄の骨格が丸見えになり、ロボットと同じように錆が浮き赤黒い斑となって、そこに永遠に捨て置かれる。


そんな場所に、【ぼく】は捨てられた。


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