株式会社文化祭

足駆 最人(あしかけ さいと)

プロローグ

夏の暑さが、始まろうとしていた。

高校一学期の期末テスト終わり。

もうすぐ夏休みが始まる中、ホームルームで担任から一つの話がなされた。


「文化祭に向けてのクラスのリーダーを決めまーす」


そんなホームルームの中、私は手を挙げた。


「私がやりたいです!」


私以外、誰も手を挙げることはなかった。


「じゃあ、喜志ノゾミさんにお願いしましょう」


そう言って、クラスに小さな拍手が起こった。

私はずっと、この高校に入学した時から思っていた事がある。

それは学園祭を、誰も体験したことないような特別なものにしたいという事だ。

そして遂に今日、その第一歩へと踏み出した。


「ノゾミちゃん、どうするか決めてるの?」


友達の矢田サヤが話しかけてきた。


「いや、とりあえず楽しい文化祭にする事しか考えてなかったなぁ」

「えー大丈夫なの?」

「うん!まずは考えてみる!」

「そっか!私に何かできそうだったらいつでも相談してね!」

「ありがとうサヤ!」


そうして考えることになった。

放課後、スマホで何かないかと色々調べてみた。

何か特別になりそうな文化祭の出し物がないかと検索してみる。

でも、中々頭の思考とは結びつきそうもない。


「んーー」


私のやりたい特別な文化祭ってなんだろう?

検索フォームで『文化祭 特別』で調べてみる。

そして、画面を眺めてると気になるものを見つける。

『株式会社文化祭ホームページ』

ページを開いてみる。

すると目に入ってきたのは「特別な文化祭のお手伝いをさせていただけませんか?」と大きく書かれた文字だった。

内容を見てみると、学校の文化祭の手伝いをしてみてくれるみたいだった。

……凄く嘘くさい、が。


「あれ?」


どうやら会社の場所が書かれているところ見てみるに、さほど遠くない場所にあるらしい。

……行ってみる?

私は立ち上がる。

このまま一人で悩んでても仕方ないかもしれない。

向こうは恐らく文化祭のエキスパートだ。

何かしら得るものがあるかもしれない。

そして私は教室から駆け出した。

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