✿7章:試験と裏側✿

第85話 『エヴァちゃん』の✿ぱんつぴんくー!

✿ 新章スタートです。

 E級の『ランカー』となったエヴァ達チーム「大空グランシエル」。その背後に見え隠れしていた「動き」を追って物語は動き出します。

――――― ❀ 



 エヴァは、朝の光が目に入り意識が覚めていく。

―――あれ? どうしたんだっけ?


(……知らない 天井?)

 木造の建物で、少し板が古く雨漏れの跡がある天井。


「うーん。本当に知らない場所だなー。いちちち……。」

 体は痛く……ないのだが、頭が酷く痛い。


 ◇


「あー! お姉ちゃん~~。エヴァちゃん起きたよー!」

「お『花』が起きたー。」


 ふたりの男の子がエヴァの居る部屋の奥から顔を出す。


「あっれ~? フリージアの弟君達ぃ~?」

「セナだよ!」 「テオだよ!」


「ふふふ、エヴァ起きたね。」

「あ、フリージア!? 何で私ここにいるのー?」


― ☘

「エヴァ……お酒弱いのに、調子に乗って飲んで潰れた……。で、連れてきた。」

「ふぇ?」


「エヴァちゃん、踊りながらお花いっぱい咲かせてたー!」

「お花回し~って、いっぱいの色のお花咲かせてたー!」

「ふぇ?」


「「で、その後、倒れたー!」」


「ふぇええええええええ???」

「エヴァ、お酒は控えたほうがいい。……あれは悲惨。」


「な……な……何したのわたし―!」


― ☘

「んとね! 下着になってお花の服に着替える魔法してたよ!」

「エヴァちゃんのぱんつぴんくー!」


「ふぇ……ふぇええええええええええええ。」

「破壊力抜群―――。あの御師様が爆笑して椅子から落ちて腰やった。本日閉店休業ガラガラガラ~。」


「ふぇーん、アリアさんも見てたのぉぉ? でも、腰を痛めたなら、ごめんなさいしなきゃだね。ぐすん……。」


 最悪ぅ~はずかちぃ!

 下着で『花』魔法を唱えて花を服にするって……考えるだけでも、お馬鹿がすることだよ~~。


 アリアの性格は、カイトのそれに近いと思っているエヴァである。

 下着で花魔法の服を作っている自分を見て、笑い転げているアリアの様子は簡単に想像ができて、その反動で椅子から転げ落ちたのも納得が出来てしまう。


 それで、アリアが怪我をして仕事が休みだなんて……申し訳なさすぎる。

 と、エヴァは顔を真っ赤にしてそう思う。


 ◇


― ☘

「御師様は、室内道場でルイゼさん達と話している。」

「あ、私を迎えに来たのかな?」


「んー。サーシャさんも一緒。それで、表情は硬かった。あ……あと……」

「私行ってくるね。謝らなきゃ!」


「ダメ。私達は立ち入り禁止らしい。」

「え、そうなの? 何かあったのかな?」


― ☘

「分からないけど、ふたりの母から、険しい顔で『まだ早い』と言われた。」


―――まだ早い。

 ルイゼのその言葉は何時だって間違いがなくて、エヴァがその話を知ることが、確実に事態をマイナスにさせることを彼女は知っている。


(でも、急に何なんだろ? サーシャさんが居るってことはギルド絡みだよね?)


― ☘

 エヴァは、自分がE級迷宮探索家フローターのランカーになった喜びを忘れてしまう程、嫌な胸騒ぎを覚える。



 ✿ ✿ ✿

― ☘

「やっぱり、第2階層の神秘の涙クオーツ絡みで死人が出た件……ギルド関係者が関係していたのか。」


 ルイゼがサーシャに神妙な面持ちで聞く。


「上手く証拠は隠されているけど、『セビオ』が関係しているのは間違いないと思います。」


「確かに、昨日あいつもロビーに居やがったからなぁ。あのエヴァ達を見つめる目は嫌なものを感じたぜ? それに『キャッチ&ポッピー』がエヴァ達の身辺を探ってるのもまず間違いないぜ?」


 カイトが、キャッチ&ポッピーの昨晩の行動記録をルイゼに投げる。


「フリージアちゃんが、エヴァちゃんをここに連れてきたときに、こそこそと尾行している未熟な気配がふたつあったものねぇ。ついでに、それを追っている手練れの気配もふたつあったけど♪」


 アリアがカイトを見て笑う。


「くあぁー。なぁ、アリアウルフよぉー! 分かってたんなら、あの『気』どうにか成らなかったのかー? 喧嘩売られたと思って、久しぶりに意識をぶっ飛ばして、お前に噛みつきそうになったんだぜ?」


「えええぇ? それは未熟ねぇー。ちゃんと『気』に込めたでしょう? 『わたしはアリアちゃんよ♡』って。」


「気に……アリアちゃんよ♡ ってなぁ……。まぁ、お陰でアリアウルフに脅されたひよっこ情報屋が怖気づいちまって、汗びっしょりで『依頼主』のところに戻ってくれたんだから、何も言えねぇがな。」


― ☘

「『依頼主』はやっぱり、組織『ビー・ディー』……バードック・デバイスかい。」


「セビオの疑いも『ビー・ディー』絡みで繋がってきます。」

「後は、ギルドの根っこがどれだけ腐っているかだねぇ。」


― ☘

 エヴァ達を嗅ぎ回っている組織が居て、その組織に確証が持てたのはいいのだが、どうやらそれが示すのは、その毒が『迷宮』ギルドにまで入り込んでいるということのようだ。


 ルイゼとサーシャは、苦い顔をしてカイトが渡したキャッチ&ポッピーの行動記録と、サーシャが持ってきたセビオの記録を見比べる。


「そうなると狙いは……神秘の涙クオーツか、 スター ホルダー……若しくは……よねぇ~。 」


― ☘

「サーシャ、ギルドに潜り込ませた「三つ葉」はどうだい?」


「あの子達、上手くセビオにも気に入られていますよ。ワザとらしいドジっ子も板についてきましたし。」


「そうかい。なら、そっちは引き続き任せるよ?」


「わかりました。後、ギルド内ではエヴァちゃん達を気にしておきますけど……世界樹とOFF時間はどうします?」


「そうさねぇ……。今のところ情報屋程度なら、エヴァちゃんなら大丈夫だと思うのだけど……。」


 ルイゼが顎に手を当て考える。


― ☘

「ならよぉ、母さん。……ひとつ考えがあるんだが、『あいつ』をこちら側に巻き込まないか?」


 カイトには、ひとり適任な男に心当たりがあって、彼女はルイゼに進言をする。

 そう、カイトの言う『あいつ』……。やるときはやる? あの男である。


 ===============☘

✿ 読者の皆様

エヴァが酔っ払って、下着姿で『花』魔法を使って服を作ろうとしているイラストはこちらです♡


「エヴァちゃんのパンツ、ピンク!」

大事なことなのでもう一度!


「エヴァちゃんのパンツ、ピンク!」

 ↓

https://kakuyomu.jp/users/Egg774/news/16818093074677459069

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る