第13話:いざダンジョンへ
「ほうほう!! これが冒険者カードか!!」
「そうだよ~名前やスキルが全部乗っている冒険者の必須品!」
デモニストのギルドについた後、早速ムーナの冒険者カードを発行してもらった。
冒険者カードは冒険者の情報がのっている身分証明書のようなもの。
ここには名前やギフト、スキルや年齢、
後、詳細を開くと何故か体形の情報までも書いてある。何故か。
「ふむふむ……」
「見てもいいー?」
「ん? よいぞ」
「おおー……これがムーナ様の……」
「ステータスオープン」と唱えるとムーナの情報が空間に表示される。
ーーーーーー
名前:ムーナ
ギフト:魔王
~保有スキル~
・闇魔法強化・極
・闇属性付与
・魔力強化
・魔防貫通
・魔素吸収
・闇魔法無効
・魔眼
・魔王の怒り
ーーーーーー
「……なんか絶対魔法で殺すって意思を感じる」
「魔防貫通って結構えぐいスキル持ってますね……」
「これでもかなり減ったと思うのじゃがのう……昔は近接系のスキルも保有しておったのに」
「この魔眼と魔王の怒りって何?」
「おお、これか? これはわらわ専用のスキルだった筈……」
そう言いながらスキルの文字に触れると詳細な文章が表れた。
【魔眼】
鑑定や威圧、気配察知の上位互換
【魔王の怒り】
闇魔法に浸食を与え更に呪いを付与する
※浸食は魔法ダメージを徐々に与える効果です
「流石魔王だ」
「流石魔王ですね……」
「お主も魔王じゃろうが」
ムーナのスキルは殺意が凄まじい。
ダメージが通りやすい上に、更にじわじわと痛めつけていくといった内容。
こんなの一回でも喰らえば終わりじゃん。
「ふむ……?」
と、顎に手を添えながら自身の冒険者カードを眺めるムーナ。
「このギフトというのはなんじゃ?」
「それは個人の特性のような物……え? ムーナ知らないの?」
「知らんが? 500年前にはこんなのなかったしな」
ギフトを知らない……?
そういえばギフトの歴史ってあまりわかんないけど、ムーナの時代にはなかったんだ。
「あー、ギフトって結構最近現れた概念ですからねー……確か100年前くらい?」
「え、そうだったんだ……」
「そうなんですよー。当時は人間だけギフトを調べたり研究してたみたいで……途中から他種族から色々突っ込まれて今に至るというか……」
「へー……人間が独占してたって変な話だね」
一応私が生まれる前には存在してた……とはいえ100年何て魔族からしたら最近だろう。
ただ人間だけが調べてたって言うのも不可解だ。まるでギフトが人間の為に表れた存在のような……いや、それは考えすぎか。そもそも何の為にって話になるし。
「他には何か知らんのか?」
「ボクが知っていると思いますかー? 大賢者スライムにでも聞いてください」
「500年間なーにをしてたんじゃお主は」
「昼寝と夜遊びとその他諸々」
「ダメ人間のオンパレードだ……」
まぁ知識面でそこまで頼りにしてないからいいけどさ。
ただ生意気な態度にムーナはむっとしたらしく、ステラの鼻を軽くつまんでいた。
「ま、考えても仕方ないしダンジョン行こっか」
「そうじゃな」
「あ、ボクはお腹が痛いので……」
「おーそうかそうか……ショコラよ、ステラがお腹痛いそうなんじゃが……」
「あー治っちゃいましたねー!! 不思議だなー!!」
「一応言うけど聖女の前で仮病は効かないからね?」
明らかに嫌そうなステラを(無理やり)引きつれ、私達三人はダンジョンへと向かうのだった。
~~~
「そういえばステラって何が出来るの?」
「あぁ、こやつは罠魔法がメインじゃな」
「ですね~何もしなくても相手が勝手に死ぬので楽です」
魔素の濃い森に存在するダンジョン、私達はそこの中層を目指していた。
なんでもそこに生息するモンスターがかなりレアな素材を出すのだとか。
レアって事は周りのモンスターもかなり強い証拠だけど……まぁ聖女一人に魔王二人なら何とかなるでしょ。
と、楽観的に考えていた所でモンスターと遭遇する。
「んー? あぁデビルウルフですか……」
「ギャウッ!!」
「引っかかりましたね?」
「ッ!?」
勢いよく飛び出したデビルウルフが、突如地面から現れた植物のつるによって縛り上げられる。
恐らく事前にステラが仕掛けていたのだろう。
「おお、一瞬で動きを……とあー!!」
動こうとしても僅かに手足の先がピクピクと震える程度。その隙に私は杖で身体をグシャッと叩き潰した。
完全に死体と化した事を確認すると、私はデビルウルフの身体を解体し素材と魔石を回収する。
「手馴れてるのう」
「んー? まあ前のパーティだと素材回収も私の仕事だったからねぇ」
前のパーティでは雑用は私の仕事だった。正確には押し付けられたんだけど……ただそれらをこなして行く内に一通りの事は出来るようになっていたのだ。
「綺麗に取りますねえ……これなら高く売れますよ!」
「えへへ、ありがと。ステラが動きを止めてくれたおかげだよ。綺麗に倒せた」
「ふふーん、これでも魔王ですからね!」
「ステラの罠魔法は強力じゃからな……人間達が下手に魔族の土地へ攻められなかったのも、大量に罠を張り巡らされてたからじゃし」
流石は元幹部で現在の魔王だ。
攻める側からすれば大量に罠がある場所に行くのはリスクが高いだろうし。
人間といざこざを起こした魔族の国が今も存在するのは、ステラのおかげかもしれない。
「ん? 何これ?」
「大きな岩……ですかね?」
と、先へ進んでいると巨大な岩に道を阻まれた。
「かなり魔素が濃いのう……妙な呪いと封印が掛けられておる」
「うーん……ディスペルが効かない。浄化しきれないんだ」
ムーナが岩に触れようとするとバチッという音と共に手が弾かれる。
私も聖女の力で浄化を試みるが、一瞬綺麗になったと思いきやすぐ黒いモヤに包まれてしまう。
こんなのムーナと出会った場所でもあったなぁ。
「ショコラさんでも解呪出来ないとなると、ここは引き返すしか」
「よし、殴るね」
「え?」
だったらやる事は同じ。
聖魔法を込めて思いっきり殴る!
「すぅー……ハアッ!!」
思いっ切り振りかぶり、勢いのある右ストレートが岩に直撃した。
ピシッ!!
ガラガラガッシャーン!!
「よしっ!!」
「なるほどのう、これで扉と水晶を……」
「え、えぇ……」
岩は拳を受けた瞬間、真っ二つに崩れ落ち、防がれた道を顕にした。
その一部始終を見ていたムーナはうんうんと感心し、ステラは何故かドン引きしていた。
「な、何で拳で解呪出来るんですか? 本来岩が壊せないように呪いがかかっているのに? あれ、ボクおかしい事言ってる?」
「ちなみにわらわの封印をぶっ壊したのはショコラじゃ」
「なーんでムーナ様の封印が解かれたのか分かんなかったけど……そういうことですか……」
乾いた笑みを浮かべるステラ。
信じたくないけど信じるしかないと、そういった感じだろう。
「魔法じゃないんですか……?」
「えーと、多分魔法と素の力の融合技かな?」
「ますます訳が分かりませんよぉ……」
と、言われてもねぇ。
私も原理を考えたことがないから上手く説明できないんだ。
できるからできる、それだけの事です。
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