第7話 瑞稀と綾

~中村が町へ繰り出している頃~



「結婚遠のいちゃったね瑞樹」


「うーん、そうかもねー」


竹内瑞樹は同じ事務で同期の綾とカフェでラン

チを食べていた。

小田綾は竹内瑞稀とのんびりな綾とキビキビの瑞稀は性格こそ違が同期ということもありお互い腹割って唯一話せる関係なのでこうしてたまに集まっては愚痴ったりストレス発散をしていた。

そして綾が言っている約束とは

付き合って半年も経ったある日、本社に行って企画部になったら絶対結婚する!あれは去年のことだったが結果、中村は企画部どころか本社にいくことも出来なかった。


「私的には別に本社だからどうとかって無いんだけどね、給料もそんな変わらないし」


「変にプライド高いからね男って」


「ねー」


そもそもそんなことで結婚決めるなら最初から本社の人と付き合ってるのに何故そこにあの人は気づかないのかと瑞樹は心の中で愚痴を言った。


「でもさー本当に結婚する気あるのかな?」


「ノリくん?」


「うん、だってあの人すぐ調子いいこと言うじゃん?」


「まぁ、たしかに」


第一印象は面白い人、真面目な部分ももちろんあるが真面目な部分が見えにくいのか瑞稀も仲良くなる前までは口先行のおちゃらけた人くらいにしか思っていなかった。

中村は綾とも瑞稀とも同期ではあるが綾とはそこまで交流はないので綾の心配する気持ちも最もだと思った。


「中村くんさ、なんかたまに大丈夫かな?って思っちゃうんだよね」


「まぁまぁ、あんなだけどちゃんと考えてくれてると思うし」


「本当に?」


「う...うん。」


「それに自分のことばっかりじゃない?忘れてんじゃない瑞樹も本社のイベント運営部に行きたいってこと」


「それは…忘れてる可能性もある...」


元々2人の出会いは支部から本社に行くための説明会で会って仲良くなったという経緯があるので忘れてるなんて悲しいことはあってはならないのだが最近特に自分の話ばかりの中村なので瑞樹は自信がなかった。


しかしそれでも好きな人を信じるのが好きになった自分の役目と瑞樹は思い


「綾!大丈夫だよ!ちゃんと考えてくれてるしきっと今も本社にいくために頑張ってるよ!」


「本当に?」


「本当に!ね、信じて?」


「んー、瑞稀のことは信じてるけど〜」


「でしょ、なら大丈夫だよ!ほら、気分転換にカラオケでも行かない?」


「わかった、よし!今日はいっぱい歌うぞー!!」



瑞稀のまっすぐな目を信じた綾はホラ早くーともうカラオケ行く気満々で瑞稀を急かす。


-ノリくん、信じてるよ。頑張れ-


瑞稀は立ち上がると空を見つめ少し強気に自分に言い聞かせるように言った。



そしてその頃中村は…金平糖で遊んでいた。

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