あなたとなら世界を救える

温泉と猫

第1話 プロローグ

『どうだ? そっちからこっちの様子は見えるか?』

 無線機から青年の声が聞こえてくる。

「ああ。見える。前方にいる魔獣も」

 黒色が混じった灰色の髪の青年は高台から目の前に広がる森林地帯をスコープで覗き込み答える。

『数は?』

「大型は二体、中型は五体、小型が二十体」

『割とオーソドックスな組み合わせか。アッシュ、頼めるか?』

 無線からの言葉に青年は口元を上げる。

「位置からして大型一体と中型二体ならいける」

『そうか。じゃあお前のタイミングで撃て。それに俺たちが合わせる』

「了解」

 青年は背負っている青く輝く剣に触れる。

「装填」

 スコープを覗きながらライフルの引き金を引く。

 銃声が周囲に響き蒼い流星が真っ直ぐ獣が溢れかえる森林地帯に落下する。

「ヒット。約束通りに魔獣を倒した。後は任せる」

『おう』

 森林地帯戦闘音が響き始める。だが青年はこれ以上何もすることはないと自分の武器を片づけ始める。

 彼のコードネームは<ブルーローズ>。神創兵器ブルーローズの起動者だ。ブルーローズによって起こす事象からあだ名はアッシュ。

 これは彼とパートナーとなるもう一人の話。

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