20 怯えるクラウス 2
クラウスの質問に答えず、私は続けた。
「彼女はまさか自分が婚約破棄を告げられるために離宮に呼び出されたとは露とも知りませんでした。またいつものクラウス様の気まぐれなのだろうと考えていたのですが……あなたの隣にはオフィーリア王女が立っていた……」
「な、何故その話を知っている……ま、まさか……ユリアナは生きていたのか!? あの女から話を聞いたのか!?」
震えながら後ずさるクラウス。
「生きていた……? やはり初めからユリアナを殺すつもりで呼び寄せたわけですね? 殺すほど憎かったのですか? 単に婚約破棄をすれば済む話だったのでは? 理由を言わなければ……今、この場で焼き殺しますよ?」
ボッ!
私は更に炎の玉を大きくした。
「ヒッ! よ、よせ……言う。正直に言う……!」
クラウスは怯えたように、一気にまくし立て始めた。
「そ、それは……ユリアナが……いや! ベルンハルト公爵家が邪魔だったからだ! 私は第二王子で、王位継承権は無かった! 父も兄も俺のことを出来損ないとバカにし、騎士団の団長だったユリアナは俺を見下していた! いつもいつも冷たい眼差しで人のことを見ていたからだ!」
私がクラウスをバカにしていた? それを言うならこちらのセリフだ。クラウスの方こそ、さんざん私を見下していたのに、一体どの口が言うのだろう。
「もともと……ユリアナは兄の婚約者になる予定だった! それを俺が無理を言って俺の婚約者にしたのだ! ベルンハルト家のユリアナが俺の妻になれば権力を手に入れられると思ったからな! だが、それは間違いだった!」
自分から私を婚約者に望んだのに、そのような言い方をするとは…! 悔しさのあまり、歯を食いしばる。
「周囲の者はますます俺がユリアナより劣っているとバカにした……そんなとき、オフィーリアと出会った。彼女は俺の境遇を理解し……自分なら、俺を国王にすることが出来ると言った! そのためにはベルンハルト公爵家が邪魔だと言うので、計画を立てたんだ!」
「なるほど……それで私を人知れず呼び出し、始末したわけですね? 私がいなくなればベルンハルト家は黙っていない。王家に反旗を翻すと踏んで、挑発したというわけですね?」
「な、何……!? 私だと……? 一体、お前は何者だ……!」
「今の話で……おおよそ検討はついたのではありませんか? ベルンハルト様」
私はベッドから降りると、一歩クラウスに近づいた。
――そのとき
バン!!
突然扉が勢いよく開かれた――
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