2 隠れ家

「記憶が正しければ、ここが隠れ家へ続く入り口です」


 ゴツゴツした岩肌に触れながら私はジェイクを振り返った。


「本当にこんなところに隠れ家の入り口があるのか? どう見ても崖にしか見えないが」


 上を見上げるジェイク。

 目の前には巨大な崖がそびえたっている。


「はい、そうです。この崖の一部は実は空洞になっているのです。仕掛けが隠されていて動かすと入口が開くようになっています」


「ふ〜ん……そうなのか……」


 私は慎重に仕掛けを探した。すると、一部分だけ不自然にへこんでいる場所を発見した。

 ここだ……間違いない。


 仕掛け部分をグイッと強く押した。すると……。


 ゴゴゴゴゴゴ……


 途端に岩が大きな音を立てて、左右に開き始めた。


「こ、これは……!」


 ジェイクが驚きの表情で岩が動く様子を見つめている。やがて完全に入り口が開かれると、岩の奥に続く道が現れた。


 岩壁は光る石が埋め込まれているので青白い光で照らし出されている。


「中へ入りましょう」

「ああ……」


 中へ足を踏み入れると、再び入り口は音を立てながら閉じていく。


「扉が……勝手に閉じていく……」


「むやみに侵入できないように、中へ入ると閉じられるようになっているのです」


「そうなのか?」


「はい、では行きましょう。ジェイクさん」


「わ、分かった……」


 躊躇いながら返事をするジェイクを連れて、私達は奥へと進んだ――



****



カツーン

カツーン


洞窟内に二人の足音が響き渡る。


「それにしても、よくこんなにすごい隠れ家を作ったものだな。ユリアナの知り合いは」


 隣を歩くジェイクが声を掛けてきた。


「はい、そうです。何か有事が合った際はこの隠れ家を利用できるように作ったものですから」


「……そうか」


 やや間を開けて返事をするジェイク。少しの間歩き続けると、空気の流れが変わった。目的の場所に着いたのだ。


 突然目の前が大きく開かれた。そこは広々とした空間が広がっていた。高い天井、壁一面には様々な種類の武器が飾られている。

剣や槍、弓矢などもある。


「い、一体何だ⁉ ここは……! こんなに武器や防具が隠されているなんて……考えられない!」


 ジェイクは驚きの声を上げ、私を見た。どうしよう……正直に答えるべきなのだろうか?

 躊躇っている時、突然背後で声が響き渡った。


「お前たち! 何処から入ってきた!」

「何故ここの場所を知っている!」


「「え⁉」」


 な、何故ここに人が……⁉


 慌てて振り向こうとした時、更に声が響き渡る。


「そこの二人! 手を頭の後ろで組め! さもなくば撃つぞ! こちらは銃を持っているのだ!」


 

「わ、分かったわ……」

「くそ……野盗か……」


 私達は観念して、両手を頭の後ろで組んだ――

 


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