第五話 神は舞い上がり、子は引き篭もる
◆◆◆
は、はなしちゃった……話せちゃったよん。
入学してからずっとボッチを
……まぁ『まともに』はちょっと過大評価か。
おもに私のトークスキルがクソ過ぎたせいで、ぜんぜん会話が続かなかったし。
でもでもだけど、クラスメイトと会話できたことには変わりない。
しかもその相手が、ずっと気になっていたクラスメイトの
栄養も睡眠も足りていなかった貧弱ボデーの私よりも小さく、見た人全員が思わず守ってあげたいと使命感を抱いちゃうくらいに可愛すぎてしまう子日ちゃん。
なんか困ってそうだったから、こんな私でも思わず母性を発揮して声をかけてしまったわぞ。
今日の邂逅をきっかけに、少しでも仲良くなれたら最高だったんだけど。
話が盛り上がったわけでもなく、よくよく思い出せば、なんかずっと子日ちゃんはビクビクオドオドしていたような気がするし。
ろくに話したこともない私なんかが声をかけたのが、間違いだったんだろうか……。
そもそも掃除がおわった後に『寮まで一緒に帰ろう』とか誘えば良かったのに、人付き合いの経験値が足りなさ過ぎたせいか、とっとと退散しちゃってんだもん。
いくじなさ過ぎだろ私。このおバカが。
せっかくの好機すら生かすことができないのは、流石にコミュ障が過ぎて草。いや草じゃないよ。なにヘタレてんだよ、あの時の私。
そのせいで今もひとり寂しく、部屋で孤立の民やぞ。
その後、食堂で子日ちゃんに偶然出くわすなんて運命力もなく、廊下でばったりなんてロマンスも生まれずに。
今日も一日、友達ができないまま終わるのだった。
登下校もひとりぼっち。学校でもひとりぼっち。果ては何でか寮でもひとりぼっち。
もうだめだ……こんなんじゃ友達なんて出来っこない。きっと一生ボッチなんだ。マンマたすけて。バブぅ。
けれどもまぁ、何はともあれ。
ウチのクラスにもう既にイジメが発生している、なんて事実がなくてよかったです。おぎゃぁ。
◆◆◆
こんなにも死にたくなるほど恥ずかしい思いをしたことがあったでしょうか。
私はひとり、寮の部屋で布団にくるまって悶々としていた。
同室の
だって万が一、食堂で神さんに出くわしでもしたら……どんな顔をすればいいのかわからないですし。
みっともなく泣いているところを見られたばかりか慰めてもらった上に、しなくても良い場所の掃除まで手伝わせてしまって。
それもこれも、掃除に遅れないようにと焦って、来週べつの班が掃除する場所と見間違えてしまった私の勘違いのせいなのだから救いようがない。
私が一向に掃除に来ないことを心配してくれてたクラスメイトのみなさんも、事情を話したら笑って許してくれましたし。
どうしようもないほど愚かな私の勘違いに巻き込んでしまった神さんも、『それならよかった』と言って、最後に私の頭を一撫でして去っていってしまったのですが。
あれは絶対に心の中で呆れていた。絶対にそう。明日からどんな顔をして神さんと話せばいいんでしょう……。
憧れの神さんとせっかく話すことができたのに、こんなのあまりにも酷すぎます。
それもこれも全部私のせいなのだと、自分の過ちを悔やみながら。
話しかけられる勇気を持つことが出来たら、今日のお礼をちゃんと伝えようって。
心の中でそう強く思いながら、私は夢の中に落ちていったのでした。
◆◆◆
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