第9話 すげぇ事実って何!

 アトリエに戻り、拾ってきた薬草と井戸水を使って初級ポーションを作る。

 ちなみに、井戸水はアトリエに備え付けられた井戸から取れるよ。

 たまに、砂も取れるけど、これって水に砂が混ざってるってこと?

 飲み水にするなら沸騰させないと怖いやつだなぁ。

 そんなことを考えつつ、視聴者さんと雑談しながら初級ポーションを作っていると。


「これで、最後の一個っと」


 薬草と井戸水を入れてぐるぐるする。

 2分ほどかき混ぜると、初級ポーションが、出来上がった。

 これで、取ってきた薬草は全部と思うと同時に、

 ぱぱーんと聞こえた。

 なんかいい音、レベルが上がったみたいな聞いてて心地よい音だ。


『おめでとー』

『やったねアリスちゃん、レベルが上がったよ』

『これだけやってまだ、2とは』


 結構長い時間やってたのに、レベル2なのはちょっと悲しいけど、まぁ、しょうがない。

 でも、これで作れるアイテムが増えたはず。


『レシピは市場行けば売ってるはず』

『レベルが適正にならないとレシピ売ってくれすらしないんだよな』

『しかも、それでレシピ全部じゃないっていう』


 へぇ、市場でそんなの売ってるんだ。


『街の中回ればもうちょい素材あるはず』

『明らかにゴミ捨て場っぽいバケツとかね』

『汚いけど、有用なアイテムがあったりするよね』


 そうなんだ、街の中でも手に入るアイテムがあるんだね。

 でも、


「もう、結構いい時間なんだよね」


 昼過ぎから始めた配信だったが、もう夜。

 時計はないから正確な時間はわからないけど、配信時間は6時間を過ぎようとしていた。


『あ、やばくね? 確か、連続配信は6時間で切れるんじゃなかった?』


 えっ?


『でも、それ、未成年限定じゃなかったっけ? アリスちゃんは……どうなの?』


「いや、むしろ私が聞きたいんだけど?」


 そもそも、私ここが異世界なのかゲームの中なのかすらわからないし。

 いや、ログアウトできない時点でそもそも色々とわからないことだらけだし。


『うーん、まぁ、どのみち外は真っ暗みたいだし、後は明日でいいんじゃない?』


 そうだね、そうしようか。

 あ、そうだ。


「あと5分くらいで6時間だからそれで切れるか見てみようか」


 そうすれば今後もそれでやっていけるし。


『切れなかったとしても、それで終わりってこと?』


「そうそう、どうせこの後ってお夕飯作って食べるだけだしね」


『本当は配信時間稼ぐためにもできるだけ配信したほうがいいんだけどね』

『未成年は6時間の連続配信の後は、6時間のインターバルが必要だっけ』

『そうそう、それで、急に配信停止になったの見たことある』

『アリスちゃん、明日はどうするの?』


 明日、そうだなぁ……

 特に考えてなかったんだけど、色々と用事を済ませてになるから……


「多分、明日は今日よりも早く始められそうだとは思うけど」


 私は一回目の鐘で起きて二回目の鐘から活動開始するから……


『それだと、ゲーム時間で10時からだな』

『そうか、ゲームとこっちの時間ずれてる可能性あるのか』

『あー、一応通知オンにしておけば良いかな?』

『ゲームだと同じ時間のはずなんで、リアルでも10時頃のはず』


 そうなんだ。

 アリスの時は、鐘でしか動いてなかったから、特に時間とか気にしてなかったけど。

 地球と同じ時間なんだ。

 ……ちょっと不思議な気がするけど、まぁ、ゲームの中だしね。


『なるほど把握。それじゃあまた明日かな』


「うん、それじゃあ、今日は見てくれてありがとう」


『いやいや、俺達としても、楽しい配信だった』

『こんな神企画に初日から参加できて大満足だ』

『アリスちゃん、またー明日ー』


「うん、また明日ー」


 と、言いつつそろそろ時間だ、どうなるんだろうと見守っていると。


『お、おい! すげぇ事実が判明したぞ!』


 えっ?

 とコメントが書き込まれ。

 あ、もしかして検証ニキさんかな?

 なにかわかったのかも?


『実は……』


 実は……

 それ以降のコメントが流れてこない。

 あれ? どうしたんだろう?

 検証ニキさんは以外のコメントの流れてこないんだけど。

 そのまま少し待ってみると、突然。


【配信時間が6時間に達しました。未成年のため強制的に停止します。再度放送には6時間以上のインターバルが必要です】


 という文字とともに、配信が終了した。

 このタイミングで!?


「えー! すげぇ事実って何! 気になるんだけど!?」


 そりゃないよー。

 結局配信は連続6時間までと知れたことはありがたいが、最後のコメントが気になって悶々とするのであった。


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