第1話「従兄妹」
「……んっ」
眠っていた重たい瞼を開け窓の方を見ると桜の花びらがヒラヒラと高速で舞い上がっていた。
「またねっか……」
俺と彼女が別れたのはこんな桜の花びらだった気がする。
「ねぇお母さん!」
そして聞こえてきたのは子供の声だった。
「美咲おねえちゃんいる!?」
「いると思うよ」
「本当っ! 今度ね四葉のクローバーを美咲おねえちゃんにプレゼントするんだ!」
「本当に美咲ちゃんのこと好きだね」
「大好きっ!!」
その子供の無邪気な笑顔がどこかしら昔の子供時代と重ねていた。
「……子供の頃か」
昔、親戚の子と遊んでいたのを今にでも覚えている。
そして多分関係しているから夢を見たのかもしれない。
『次は――』
「……あっ」
駅のアナウンスの声の元に俺は自分の荷物を持って電車を降りた。
「……」
そのまま改札の方に向かうと知っている女性が声聞こえてきた。
「あっ鷹くん。久しぶり!」
見た目は二十後半に見てるが、実際のところ四十代だ。昔と見ても綺麗だと思ってしまう。
「久しぶりです。早苗さん……」
「まぁっ! 敬語なんておばさんでいいのよ。兄さんと違って育ちが違うわね。このくらい言葉が素直にいてくれたら嬉しいのに。ってごめんねおばさんの独り言で」
「あっいえ……」
結構お喋りなんだっけな早苗さんって……。
この人は俺の叔母にあたる人で俺の親父達が海外出張に行ってしまったため一年後。親戚の叔母さんの家で居候という形で住むことになった。
「さぁ車に乗って。あなたの家に案内するわ」
「っ! …………はい」
あっという間に駐車場につき叔母さんの車に荷物を詰め込んだ。
と、いっても荷物は先に送ってあるため財布とかスマホとか少し暇つぶしぐらいのリュックサックだけど……。
俺は助手席に座りそのまま叔母さんの家へと車を走らせた。
◇
「着いたわよ鷹くん」
「……」
車を運転してもらって相馬家に到着し俺は車を降りてずっと家を眺めていた。我が家と同じ大きさの普通の一軒家。その一人娘……。
「燕……」
俺はふと従妹名前を上げていた。そして俺の……初恋の相手でもあった。
「燕? 多分いると思うけど。まあ仲良くしてね。あの子今、反抗期だから」
「えっ……あっそれは勿論。娘さんと仲良く――っ!」
「あらま〜燕のこと気になってるの? あらあらまぁまぁ……」
やばい変なこと言ってしまった。
「い、今のは違くて! その娘さんとはその……仲良くしたいと思ってまして変な意味じゃないですよ‼︎」
「あら〜〜兄さんにも報告しておかないと本当の意味で娘と息子が出来るから宜しくって」
「「おっおばさんっ!!」」
「うそうそ。その感じ娘とそっくりだわ」
「……?」
俺と燕が似てるか?
「まぁ冗談はこれからにして。ようこそ家へ!」
おばさんが玄関のドアを開けて俺を招いてくれた。
「おっお邪魔します……」
中な入ると内装が違い改めて我が家じゃなかった。
「「燕。鷹くんよ! 挨拶なさい!」」
ガダッ! ガシャンッ!! バタンッッ!!
おばさんが声をかけた瞬間。2階から物凄い物音をしていた。
「……大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ〜いつも通りだから」
すると物凄い勢いで階段を降りる足音が聞こえてきた。
「たっ鷹くん!?」
「――っ!」
そこに現れたのはのは昔の姿のままの燕がいた……。
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