第2話

 彼は、彼女と幼馴染である。

 都会の喧騒から離れ、ゆったりとした時間が流れるこの街に住んでいる。

 普通、中学卒業同時に、違う高校へ通うことになることもあるかもしれない。

 だが2人は幼稚園の頃から、高校に上がるまで、ずっと一緒だった。


 今思えば、一緒にいることが当たり前になっていたのかもしれない、、。

 そして、当たり前の日常ほど、儚いものであった。


 小学生になって、ランドセルを背負って、通うこと六年間____。

 ランドセルは年を重ねるごとにシワを刻み、背負っているランドセルは重みが増していた。

 小学校高学年になると、家庭によりけりだが、早いものは中学受験なるものを受ける子がいる。その子等は塾と学校の勉強、さらに中学受験のための面接練習などで忙しそうであった。まあ大半は街の中学に通うことになる。

 

 彼の小学生時代は、大変成績も優秀であった。一方、彼女の方は勉強は可もなく不可もなくという平々凡々であった。

 だが、彼女はあらゆる人を魅了するようだった。いつも彼女の周りには人がいた。彼の方はというと、成績が優秀すぎる故に、人と距離を置かれがちであった。もしかしたら、彼自身が無意識に人と壁を作っていたかもしれない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る