1-3

 2学期の中間テストが近づくにつれて、私のウワサをする人も少なくなってきていた。テストの初日が終わって、私は村沢君と翌日の試験準備のため、図書館に居た。


「あのなー ウチ 高校 音女に行こうと思うネン」


「えぇー 大路にするんちゃうのかーぁ?」


 大路高校は公立で、それなりの進学校なので、有名大学を目指しているものは大半がそこに進むのだ。だから、私も当然そこに行くと村沢君も思っていたのだろう。


 私は、あの時の人の名前を調べたのだ。それは、すぐに分かった。岸森璃々香きしもりりりか。テニスは高校に入ってから始めたらしいのだけど、直ぐに頭角を現して、今は1年生なのだけど、すでに京都府内の高校ではトップクラスらしかった。


 だから、私は挑戦しようと考えたのだ。この前の大会で私が負けた子はテニス留学で他県に行くらしい。私は、高校入学した時点ではNo.1という自信があった。それに、必死で練習すれば璃々香なんか勝てない相手ではないと・・・。待ってろよー。


 あの時、変なウワサを流されて、私は辛い思いしたのよー。許さない! きっと犯人を突き止めて、見返してあげるのよー。私は、みんなからふしだらな女だって言われたのよ!。


「山城 まさか あのウワサのこと引きずって・・・ あの音女の女 犯人だと思って・・・」


「違うよ ウチ テニス もっとやりたいから・・ 大路じゃぁ 駄目なの」


「だってよー 小学校から ずーと 一緒やんかー 今度も・・」


「ウン 仲良くしてくれたよネ ウチ・・ 村沢君のこと・・ ・・・ だって、いつまでもって わけにいかないじゃない」


 私達は、お互い、気まずい雰囲気で図書館を出てきた。そして、別れる時に


「山城 僕と・・・ 僕と付き合ってくれ 違う学校に行っても・・」と、私の手をいきなり握ってきたのだ。


「・・・」私は、そのまま、しばらく返答も出来なかったけど


「好きだ 山城のこと」


「・・・ ありがとう 村沢君 ・・・私だって・・ よろしくお願いします」と、やっと 声が出た。うれしかったけど、突然だったので、さっきは声が出なかったのだ。


「うっ うん よろしくな 良かったぁー 断られたら、恰好悪いしなーと」


「そんなことないよー ウチが村沢君のこと好きやの わかってなかったん?」


「そんなもん わかるかー」と、私の手をもっと強く握り締めてきていた。


「痛いー この 鈍感!」


 でも、その夜、私は少しはウキウキした気分だったのだ。


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