人形の終焉

ヴォルフガング

プロローグ ※???視点

 わたしは、姉が大嫌いだった。

 

 一人で好きで、一人でいることが当たり前。そのクセ、大抵のことは器用にこなしてしまう。

 大人たちからは『いい子だね、かわいいね、賢いね』なんて言われても、本人はどこ吹く風。そういう態度が、わたしを更に苛立たせた。


 母は手のかからない姉より、出来の悪いわたしの方をよく気にかけてくれた。

 親を巡る姉妹の争奪戦は、子供にとっては死活問題のはずだった。

 だから、姉より構ってもらえているわたしは、母の愛を独占しているような気分だった。


 なのに――


 姉ときたら『そんなことには興味ない』と言わんばかりの様子で、飄々と孤独を好んでいた。


 姉妹で遊んでいてもわたしのやりたいことに合わせるだけで、姉には意志というものが感じられなかった。

 まるで、お人形と遊んでいるような、そんな気すら感じられた。


 そんな優等生なお人形が『あの事件』で壊れてしまった時は、正直「ざまあみろ」という気持ちだった。

 同時に、姉にも人並みに感情があったのだと知ることにもなった。


 あれから4年――


 壊れたお人形は、意志を持って動き始めたようだ。

 

 わたしの手の届かない、とてもとても遠い所へ――

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