彼女が大親友にNTRれた僕は学園一のカリスマ美少女へ嫌われているけど毎日軽い気持ちで好きだよと言い続けた結果、暫く会ってなかったら有無を言わさずベロチューされた
第34話 私はくろーが好きだ。黒田勘九郎が大好きだ。ようやく気付いた。(スバルサイド)
第34話 私はくろーが好きだ。黒田勘九郎が大好きだ。ようやく気付いた。(スバルサイド)
◆
数日後 午前 ショッピングモール
「どうかな? 大和、ワンピース似合っている?」
「バッチリ合っているよ」
「そう……よかった」
今日は彼氏である大和とデート。夏休みに入って初めてのお出かけ。頻繁にチャットでコミニケーションとっているがやはり直接に面と向かって話すとでは威力が違う。
当然だが大和の為にめいいっぱいおめかしする。喜んでくれたけど何かが物足りない。
今日は白のワンピース。大和は派手のより落ち着いたお嬢様みたいな服が好みなので、最近は清楚系の服が多い。
本来なら髪も好みに合わせてショートにすればいいんだけど、何故かそこまで気持ちが行かなかった。黒田の時は速攻で黒髪に変えたんだけどね。
ショッピングモールを回りながら話が弾む。内容は大したことではないんだけど、会話のネタがなくなると沈黙に耐えられないので何でもいいから話題を繋げた。まるで切れそうな糸を必死になって死守しているように……。
服専門店のテナントにて服選びをする。 彼氏同伴それがデートの定番メニュー。
「ねね、大和大和⁉」
「なんだ統星? 何かいいの見つかったか?」
「この服さ、私に似合うかな?」
ハンガーにかかっている大人しめの服を私へ重ね判定させる。
「似合っているじゃん」
「本当に?」
「本当だともさ」
「嬉しいな」
嬉しくてつい頬が緩んでしまう……前までだったらそう素直にはしゃいだ。でもね、今は無理して喜んでいる。嘘くさい私のヘッポコ演技がバレないか心配だ。
だが、そんな私を間近にしても大和は気づかず嬉しそうだった。大和の上っ面の微笑み。心ここにあらず。
この笑顔を前にするとなんだか心苦しくなる。やっぱりこの人のことが好きなんだ。でも付き合ったばかりのような純粋な好きとは違う気がする。どちらかというと友達の好き。じゃ、黒田の好きは同じ友達の好きじゃないのかと己に問う。
でも幾ら考えても答えは出てこない。
「——へー、北斗でも驚くことあるんだね」
「あいつの場合は表情には現れないだけだよ」
ずっと歩っていたのでファーストフードで休憩。
大和はいつも幼馴染の話ばかりする。特に黒田と北斗。比率的には北斗の方が多い。本当にただの幼馴染みなのかと疑うほど。
彼女の前で他の女の話するのはなんだかなと思うけど。でも、今の関係を崩したくないので自分を殺す。
黒田の事で頭が一杯になっている私は何も言えないし。
そう、私は何かがおかしい。黒田とデートした後からだ。待望の大和とお出かけだったのに何かが物足りなかった。
私たちはこのあとも映画とか食事をこなして解散。
大和に送るよって言われたが、用事があると言って断る。
そんなものはないのにね。私はおかしい。
一般的な決まりごとをただこなしている。マニュアルに沿った血が通ったやり取りしかできない。
気が付かないうちに大和へいちいちときめくような恋心を抱かなくなっていた。
——で、気が付いたら常連となりつつある喫茶店へと足を運ぶ。私の指定席、奥からニ番目、窓際の席。この時間帯は割と空いているので待たずに座ることができる。
黒田は出勤していた。
注文をお願いするといつもの脇坂先輩が出てきた。
カタコトのセリフをはく。客商売向いてないよねこの人。
黒田はテキパキと仕事をこなしている。何だろうかこの奥の熱いものは。
彼の顔を見ると安心する。家へ帰ってベッドでゴロ寝するような安心感。テンプレート通りにしかできない大和に同じような感覚を持たない。
黒田が微笑んでると私まで嬉しくなってくる。
なんで何だろうね?
チャットで妹へそれとなく聞いた。
統星「織音質問いいかな。洋画を観まくった恋愛マスターに相談はあります」
織音……「何々。ハードルを上げないで。 怖い怖い。あーさては石田先輩のことだね? 今日も何事もなかったんでしょ? デート楽しんだんだったらそれでいいじゃない。キスなんていつでもできるさ」
統星:「ねえ織音……。何も着飾らない、見栄をはらないで私の全てを出して話せる相手って何なんだろうね? 私が男として見てないのかな。相手の顔みると安心するから見下しているのかも?」
織音:「www、お姉ちゃん面白い冗談ありがとう。それって絶対の信頼。着飾らない自分を晒し出せる相手、余計な気遣いしないから安心しているんだよ。それにその人の顔を見ると安心するって——それもう恋でしょ。思いっきりその人の事が大好きになっているんだよ」
嘘でしょ。私は黒田のこと?
ありえないんだけど? え? え?
そうか、そうなんだ。
私はいつのまにかところ狭しに働いている黒田……くろーを目で追いかけていた。おどけて笑うくろー、真面目にお客に対処するくろー、どれもが愛おしい。
とても可愛い。今すぐ抱きしめて頬ずりしたいぐらいだ。
私はくろーが好き……。私は黒田勘九郎が大好きだ。
大馬鹿だ、今頃気付いちゃったよ。はははっ……。
今確信した。心へ最後のピースをハメると視界が一気にクリアーとなる
そうか私はくろーに心を奪われていたんだ。だから私はこんなにくろーの事が頭から離れられなかったんだね。胸の奥底はキュンとする。
なのにくろーに拒絶されてる今、こんなに近いところにいるのにすごく遠かった。
今すぐ抱きしめたい。でもできない。
どうしたらいいんだろう私は?
超甘党の私がシュガーを入れ忘れた珈琲を飲みほして気づかなかった。それほど重症。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます