第10話 アイアンメイデン
「3機とも
真っ白な口髭を蓄えた背の低い老人が油塗れの皮手袋を外し、分厚いレンズのゴーグルを額へと押し上げた。
「すまねぇなロク爺。助かるぜ」
「いいか、今のコイツは採掘ラッシュ時代の作業用トル―パではないからのぉ気を付けて扱うんじゃぞ? 」
トルーパーとは搭乗型の人型重機の事を指し、採掘場等で主に使われていた工業重機の事である。その後の惑星間の侵略戦争時代下に大幅な進歩を遂げた機体がこの
型式A・IM-TY0012
陸戦改
全高4015mm
基本乾燥重量7915kg
装甲厚7~32mm
4408-Ⅱ反重力
巡航走行速度42.0㌔ブースターバーニア使用時の瞬間速度120㌔
標準
主武装ショルダーブリッドランチャー、ハンド50mmバルガン砲、レーザーロングブレード、電磁シールド他。
スティルト
シュヴァリエ
アーマード
スナイプ
「こちらシルミド。各班無線状況を確認――― 」
「1班ギャラッシュ。クリアっす――― 」
「2班バックス。問題ねぇ――― 」
「えっとぉアチキは3班か…… ジュレーヌ行けるよ」
「各班長は
「「「
「オイてめぇギャラッシュ‼ 酒に溺れて遅れて来たくせに、歩兵じゃなくてIMに乗れるなんざテメェのセンスに感謝すんだな」
「かかかっ勘弁してくだせぇバックスの旦那。あそこの店のエールがキンキンに冷えてましてね、クソみてぇに旨いんすよぉ」
「キンキンのエールがクソみてぇにだと⁉
「最近は
ジュレーヌはくだらない男達の話に耳を傾け乍ら、砂煙を上げ追従してくる眼下のホバーバギーを見詰め、少し
「悪いなジュレーヌ。今大丈夫か? 」
「何だいシルミド」
「お前の班は後方支援だ。だからギムリーを入れた、悪く思わねぇでくれ」
「分かってるよ、バカみたいに飛び出させなきゃいいんだろ? 」
「あぁ理解が早くて助かるぜ」
「今襲われてる船はどうするんだい? 」
ジュレーヌは腕を捲ると、各インジケーターに不具合が無いか確認作業を進め、大きく開けた胸のジッパーを勢いよく上げた。
「俺達が到着した時点で
「分かった――― アンタに従う」
「シルミドから各班長へ間も無くポイント手前上空に差し掛かる。降下準備をしろ」
「「「
「本体
≪ハイ。コチラブレインどうぞキャプテン――― ≫
「間も無くポイント上空だ、エアルプターの高度を落としてIMとの連結を解除。その後帰還させろ」
≪カシコマリマシタ≫
「それと各メンバーに全員のバイタルライフゲージをシールドに表示し共有」
≪スデニセッテイズミです。セントウジにてキリカワリマス≫
「了解――― 」
シルミドは更に加速を貪るように、ガツンとバギーのアクセルを踏み込むと砂丘の波を飛び越えて行く。霞んだ空に激しい閃光が垣間見え、差し迫る現状に身震いを起こすと、感づかれぬよう夜空に大声を
「見えて来たぞ、お前ら作戦開始だ、気合を入れろ‼ 」
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