第9話 賞金稼ぎ
「シルミド‼ 偵察ドローンから映像が届いた」
「ガランか?――― ヘルメットの内部スクリーンに映像共有してくれ」
「了解――― 見てビビるなよ‼ 」
ガランと呼ばれた男がデーターを共有すると、船乗り全員のヘルメットの防護シールド部が、現在のドローンからの生の映像を映し出す―――
「こっこりゃあ…… 何てデカさだ」
「映像見る限り現在交戦中の
「…… 」
「シルミド、この映像を見てもまだ戦うか? 何人死ぬか分からないぞ? ろくな装備も無い
多くの命を預かる身のシルミドは自分の言葉の重さを一番理解していた。一瞬の判断ミスが大勢を危険に晒す。自分の言葉一つで人の生き死にが決まってしまうのだ。
―――ガランの言葉は何一つ間違っていない―――
「俺を行かせてくれシルミド――― 」
「ギムリー…… 」
怪物と呼ばれた獣に半身を奪われても尚、自分の信念を貫き抗う男は真っ直ぐな瞳でシルミドに願い出た。
「あのままじゃ、あの船はそう長くはもたない。船内に何人居るか分からないが1人でも多く救いたい――― 頼む、俺を行かせてくれ」
シルミドは自己犠牲をも
「なぁジェフ。お前ん所は子供が生まれたばっかりだったな? 」
「あぁそうだぜシルミド。生まれたばっかだ。だからよぅ美味いもんも高い玩具も買ってやらなきゃなんねぇのよ、そんなんだからよぉ俺ぁ最初から死ぬ気なんて毛頭ねぇぜ‼ ガキが腹空かせてるからよぉ、必ず生きて帰る」
「ジュレーヌは親父さんの具合はどうだ? 」
「アチキの仕送りでぬくぬく養護院で贅沢三昧さ、でも今までずっとオヤジには迷惑掛けて生きて来たからさ、だから仕送りを止める訳にはいかないのさ、幾ら危険でもアチキは行くよ‼ 命令しておくれよ」
「バックス…… 故郷に帰れなくなるかもしれんぞ? 」
「はっ⁉ 俺が死ぬってか? アンタと何十年も危ない橋を渡って来たこの俺が? はっ、今頃笑わせんじゃねぇよ。片腹痛ぇ、死ぬんならとっくに死んでらぁ」
シルミドは深い溜息一つに覚悟を預けると、思わずクククと笑いを堪えた。
「いいかよく聞け、砂丘は足を取られる。全員
「ちょっ‼ 待ってくれシルミド――― 」
「悪いなガラン…… そう言う事だ」
「シルミド――― 」
「おいっガラン、俺達は誰一人死ぬつもりはねぇよ。勿論自分が犠牲になってでもなんて考えてる奴もいねぇよ、そうだよな? ギムリー? 」
「そっ、そうだなバックス…… 悪かった頭を冷やすよ、少し熱く成り過ぎた。ちょっとオイルを差して来る」
そう言い残しギムリーは整備室へと姿を消した。
「おいっシルミド、ギムリーのヤツあのままじゃ何時か事故るぞ? アイツは人命救助の事しか考えてねぇ。
「あぁ――― 確かにそうかもしれないな」
「そうじゃねぇだろ俺達は…… 確かに人命は大事だ、誰だって助ける。誰だって助けてぇよ、でもそれ以前に俺達は賞金稼ぎが仕事だ、人命救助が仕事じゃねぇ」
「バッカスの言いたい事は良く分る――― 」
「 ―――だったら」
「もう少し待ってくれ。チームから外すのはもう少し様子を見てからでもいいだろう? ダメか? 」
「俺ぁアイツが心配なんだよシルミド…… 」
「あぁ分ってる」
すると隣の船のチャッピーからの無線が、ヘルメット内部に響き渡る。
「大丈夫か? 全部聞こえてたが…… 因みに俺達は8人全員参加だ。俺達は
「そうか助かるよ」
「そして朗報だ。ロクな装備も無い
「そんなに集めてくれたのか」
「うちらは弱小だからやれる事は限られてる。だからってアンタらに頼り切りってのもな…… なんだそのっ、良く分んねぇがプライドってやつだ」
「すまない感謝する」
「いいって事よ。お互い無事に戻ってきたら一緒に酒を飲んでくれ」
「あぁ勿論だチャッピー」
「それともう既に城下の職業斡旋案内所(
「それは頼もしいな」
「あぁ城下に拠点を置いてる位の
「そうか。これで漸く役者が揃ったな――― 」
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