第3章 レジスタンス
第12話 初仕事
ここに来て、1年が経った。
レジスタンスで活動するにおいて、基礎的知識も勉強する。
政治、経済、法律。
その辺りも、圧縮学習という。よく分からない装置で詰め込まれていく。
情報を、電気的に変換し、脳の記憶野に直接作用させる機械。
こんなものがあるなら、学生として勉強しなくて良いのじゃないかと思ったら、出浦に叱られる。小さい頃にこれでデータを入れ天才を作ると、精神的とか感情が育たない。ある程度までの自然な成長が必要なようだ。
ちなみに彼女。
すっかり彼女といえるほど変わった。
髪を伸ばし、まともに風呂へも入り。言葉遣いも俺呼びはなくなった。
食事もきちんと、取っているようだ。
だが幾度か、俺たちの部屋に催眠ガスの噴霧や。強化ボディスーツを着込んで襲撃とか、完全遮断式光学迷彩を着込んで、のぞきとか、色々やってくれた。
それのおかげで、色々な条件での防御は、静流と共に上手くなった。
「言ってくれれば、相手をするから」と、言ったら、来襲はなくなった。
「さて、もう基本はできた。自身のナノマシンで光学変化ができるようだし。この端末情報は覚えていてね。基本。端末は各方面との相互リンクがあるため、偽造はできないけれど。クローンは穴として使用できる。無論エラーは出るけれど、端末の受信エラーは自動で回復されるから、すぐに消える。一個が繋がっていればもう一つは繋がらないけれど大丈夫」
俺は預かった端末を見る。
久しぶりの感じだが、画面には知らない奴。
無論。行政中央管理センターの中に仕事を持つ関係者。
ターゲットは、今回戦略企画室の関係者。
困った事に、4の5人。今のご時世に女性が5人しかいない? 随分と、匂いそうな職場だな。戦略企画室はその名の通り、これからの方向を決めているところ、端末近くにリーダーを置いておけば、情報は、相手の端末を介してこちらの串サーバを経由して、送られてくる。いくつかの秘匿サーバも経由するから、時間が少し、かかるかもしれないし。なるべく長く繋いでおいて。世界中に多少データキャッシュがばらまかれるけれどうちには関係ないわ。
「分かった。リストメンバーとのお近づき方法は?」
「うーん。ナンパでもして。強引は駄目よ。彼女たちにもセキュリテイがマークされているから、強引だとすぐに捜査官に囲まれるわよ。それと素顔も駄目。登録されているからねカメラで、一発ね」
「そうか、それを考えれば、マスクの方が良いのかな?」
「マスクも便利だけど、表情筋のないところがどうしても出るから、今一表情が乏しくなるのよね。それに、お肌に悪いわ」
「そうか分かったよ。紡。一週間後には出る」
「それまでは、顔と、性格による行動パターンと、台詞を覚えないといけないな」
今回の俺は、会計経理課。予算管理係。上島貢。歳は25歳ねえ。みつぐか。今回の任務には言い名前かもね。
その一週間後、久しぶりに本土の海の中に居た。
〈あちら側に、旧下水道の出口がある。装備は、脇にある細い管に隠せ。途中のマップ。マークは高さだ。その高さを超えるとセンサーに感知される。完全遮断式光学迷彩を着込んでいても、赤外線や旧型の音響なら、カットする分。余計に見つかりやすくなる。高ささえ気を付ければ大丈夫。それと、出るところは公園の生け垣に埋まったマンホールだが、予算が無いせいか、植木がカットされていない。蜘蛛の巣とダンゴムシに気を付けろ〉
〈分かった情報ありがとう。一週間後には戻る。それじゃあ〉
俺は、紙のマップを頼りに旧下水道をひた走る。
この下水道は、戦時に大阪湾から淀川。そして桂川経由で避難路としても整備されたもの。かなり快適だ。ただ距離があるため、急がなければ間に合わない。
夜が明ける前には、着替えて公園から出なければいけない。
久しぶりの町中。多少ドキドキがあるな。一年以上か。京都に来たのはいつ以来だろう。ざっと50kmを、数時間で走らないといけない。
「急ごう」
危惧されたマンホールはボックスウッドの枝の下に埋まっていたようだ。警告とおり落ち葉とダンゴムシが降ってきた。
出た後、落ち葉をまぶし、刷毛を使って自然な感じにならす。
さて、拠点は何処だ。
ここからは、地図など見ていると目立つ。
覚えた所へ、設置されたカメラを意識しながら、移動をする。
古びたマンション。その脇を抜け、裏側の空き家。
立て付けの悪い扉を開け、中へ入る。
奥側の、これまた歪んで軋むふすまを開け、潜り込む。
板が抜けた押しれを渡り板をスライドすると、金属製の扉。
「ふう。やっと落ち着ける」
暗証番号を入れると、静かに扉が開く。
中へ入り、腐りかかった板を戻しドアを閉める。
そして地下へ降りていく。
無論中には、誰もいない。
作戦時に使える。セーフハウス。
壁に張り紙がある。
『出るときには、来たときよりも美しく。清掃励行』
それを見て、思わず笑ってしまう。
さて、どうやって落とすかな。
まあまずは、行動パターンの割り出しだ。
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