あいうえお!〜RPGにようこそ。こちら竜宮市役所異世界支援課〜

さこゼロ

不思議な求人

第1話 亜衣とお菊

 亜衣あいとおきくは、思わず二度見した。


 駅前広場のこんな目立つ場所に、


 こんなに大きな掲示板なんて、今まであっただろうかと。


 しかも、その大きさに反比例して、貼ってあるのは一枚だけ。


 興味を惹かれた二人の少女は、その内容を確認しに行く。


 そうして、そこに書かれていたのは、


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 竜宮市役所 異世界支援課】


「何これ…、ゲーム?」


 思ってもみない内容だった。


 〜〜〜


 上尾うえお亜衣あいは中学二年生。竜宮市立第三中学校に通っている。


 肩まで伸びた黒髪をポニーテールにしているのだが、シッポは短くちょんとハネ気味。活発そうな顔をした、ちょっと小柄な少女である。


 植岡菊うえおかきくは中学二年生。竜宮市立第三中学校に通っている。


 艶のあるストレートの黒髪は背中にまで届いており、前髪は眉の上で真っ直ぐに切り揃えられている。少し身長のあるスラリとした体型で、日本人形のような落ち着いた表情の美少女である。


 二人の出会いは中学二年の新学期。出席番号の三番目と四番目。クラス替え恒例とも言える自己紹介。


「マイネームイズ、アイウエオ! 皆さん宜しくお願いします!」


「私の名前は、う・え・お、か・き・く、です。皆さん宜しくお願いします」


 まるで自分にならったかのような植岡菊の自己紹介に、上尾亜衣は嬉しそうに後ろの席に振り返った。

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