今度出逢う時は・・・
ハル
第1話 出逢い
「優奈(ゆうな)は可愛いけど…女っ気とか全くなさ過ぎ!もっと自分の事、見直した方が良くねーか?じゃっ、そういう事で」
私の前から去って行く。
ポツ……
ポツ……
ポツ……
突然の雨が降りだす。
古西 優奈(こにし ゆうな)。16歳。
大好きだった彼氏にフラれ街中を帰るのだった。
「ほな、またな!」
ドンッ
誰かとぶつかる。
ドサッ
転倒する私。
「あっ!すんません!大丈…」
「…はい…すみません…大丈夫です…」
私はスッと立ち上がり歩き始める。
「………………」
グイッと引き止められた。
「… 大丈夫やないやろ?めっちゃ濡れてるやん!風邪引くで」
「…だったら、あなたが温めたら?女っ気も色気もないけど…」
「…初対面に言う言葉(セリフ)かいな」
「…そう…だよね…彼氏にフラれた後だから…」
グイッと抱き寄せられた。
「誰かに傍にいて欲しいんやな?今ならまだ間に合うで?俺も男やし…応えられなくはない事や」
「………………」
「で?どないすんの?」
「…一人に…しないで…」
「…つまり…それって覚悟してるっちゅー事やな?」
「…それは…」
バッと抱きしめた体を離される。
「どっちやねん!ハッキリしいや!」
「…………………」
「あー!もうっ!面倒くさ!自分から言っておいてさ、一人が嫌ならついてこいよな!傷心女!つーかさ…」
私の顔をのぞきこむようにする。
「その状況、どう見ても他の男に拉致られんの目に見えてるから!私、傷付いてるんです的な?」
「事実ですから…つーか…関西の人…」
「俺?ハーフ」
「…えっ…?ハ、ハーフって…日本人と外国の人の子供…」
「関西人と東京人」
「…それ…意味的に違うんじゃ…」
「どっちにもなれる男」
「いやいや…」
鼻を摘ままれる。
「あんたはどっちが、お好みですか?傷心女さん。行くぞ!」
パッと離すと歩き始める。
「ちょ、ちょっと!待っ…」
「待てるか!」
私は後を追う。
「レディーを、一人にするな!」
「さっきまで一人で、雨ん中、お葬式帰りみたいになってたのは誰だよ!傷心女!お前、本当にフラれたのか?」
「フラれました!」
足を止める男の人。
そして振り返ると、すぐに引き寄せられたかと思うとキスされた。
ドキッ
「ちょ、ちょっと…街中…」
「だから?お前男いたんだろ?うるさいから口を塞いでやっただけだけど?」
ドキッ
「ほらっ!タクシー乗れよ!傷心女!」
「ちょっと!さっきから傷心女って」
「事実やろ!?」
男の人は私を早く乗るように促し後を追うように男の人も乗った。
場所をタクシーの運転手に伝える。
「………………」
「…ありがとう…」
「別に。お前から言ってきたんじゃん。でも、この後の事は知らんで!見ず知らずの奴の所に来るっちゅー事は…それなりの覚悟あっての事なんやろうし」
「…本当…関西人になったり東京の人になったりギャップありすぎ…使い分けてる理由あるわけ?」
「さあな」
「答えになってないんだけど」
そしてタクシーを降りる。
グイッと引き寄せキスをされると深いキスをされた。
突然の出来事に頭と体がついていけないのと、戸惑う私。
「…んんっ!」
「…使い分けてるのは、そのうち分かる。それよりお前いくつ?」
「えっ?あ、16…」
「子供(ガキ)かよ!」
「わ、悪かったな!」
「Hの経験は?まあ男いたなら問題ねーか」
「そ、そこまで経験豊富じゃないから!」
「だろうな!キスもぎこちない感じだし」
「悪かったな!どうせ子供(ガキ)ですよ!だったらあんたが私を変えてみたら?」
「…それ…問題が発言…SF(セックスフレンド)にでもなる気か?都合の良い女でも目指すの?」
「そんなつもりはないから!」
「つーか、お前、家族は?現状、把握してんの?下手すりゃ俺犯罪者扱いされるんだけど?」
「私、一人暮らしだから」
「は?一人暮らしって…16歳の分際で?」
「いけない?」
「別に」
部屋に案内される。
《…ん?なんか…見た事あるような…建物の造り…》
「どうしたんだ?傷心女」
「だから、その傷心女って辞めて!」
「名前知らねーから仕方ねーだろ?」
「優奈(ゆうな)!」
「ゆうな?俺、洋渡(ひろと)」
「…ひろと…さん?ひろと…君」
「洋渡で良い」
「呼び捨て?えっ?恋人でも何でもないのに?」
グイッ ドンッ
私の腕を掴み、壁に押し付けるように片手で行く道を塞いだ。
ドキッ
至近距離。
私の視界に目線を合わせ視線がぶつかる。
「いちいち、うるさい女やな!だったら勝手にしろや!」
「えっ?でも呼び捨てが良いんでしょう?」
「本っ当っ!うるさい子供(ガキ)だな!あー言えば、こー言う!その口、マジ、後で黙らせてやる!」
「Hする気満々なんじゃん!女っ気ない、色気も何もない高校生の子供(ガキ)相手に、絶っ対やる気失せるよ」
「お前、本っ当!マジ、ムカつく!男にフラれたって感じ全然しねーし」
私達は騒ぐ中、エレベーターに乗り込み部屋に移動。
「………………」
《ヤバイ…一気に緊張してきた…》
《つーか…コイツ…良く見るとイケメン…じゃん》
《この人と本当にヤっちゃうの?女っ気ないし色気ないし…》
エレベーターが停まる。
「着いたで?」
「えっ?」
「降りんかい!」
「あ、うん…」
私は先に降りる。
グイッと手を掴まれ引き寄せられた。
ドキッ
キスする寸前ギリギリの至近距離。
「緊張してんのが、すっげー伝わるんだけど?」
「そんなの当たり前…」
言い終える前にキスで唇を塞がれた。
「今更?さっきの勢いはどないしたん?」
「それは…」
再びキスをされ深いキスをされた。
何度も繰り返されるキスに
吐息交じりの声が洩れてしまった。
「……………………」
「16歳とは思えないくらい高校生の割りには女になってるけど?」
かあぁぁぁぁぁ~~っ!
頭からつま先まで一気に身体が熱くなったのが分かった。
再びキスをされ、時折、深いキスをされる。
彼は 一体いくつなんだろう?
私よりも大人?
年上なのは確かだろうけど
私に隙を与えない大人の対応に
私の心や身体は
この時間だけ
彼によって支配され
いつの間にか身を委ねていた。
次の日、置き手紙を残し私は部屋を後に帰る事にした。
「置き手紙…1日限りの関係…ね…」
数日後────
「ねえねえ、彼の友達が、バンド組んでるんだ。行こう」
親友の岸屋真 由樹絵(きしやまゆきえ)
「えっ?あー、ゴメン!!私、バイト!」
「その後からでも良いよ」
「えっ!?」
「ライブ終わった後、ファンの子達と交流会みたいな事するし、ファンの子達を大事にするから来て欲しいんだ」
「…分かった。バイト終わったら連絡する」
「オッケー」
その日の夜、バイト終了後、連絡をして行く事にした。
「ごめん、ごめん」
「良いよ!こっち、こっち。ごめんね~無理言って。バイトで疲れてるのに」
「ううん」
テーブルを囲み、お菓子など食べながらパーティー気分。
年齢も幅広いようだけど、お酒やジュースがあるものの、きちんとルールを守っているようだ。
そして、ふと一人の男の人に目が止まる。
《あれ……?確か…あの人…》
「ねえ、ねえ。彼の名前は?」
私は由樹絵に尋ねた。
「ひろと」
「ひろと?」
「うん。関西系の男の子で、結構人気高いよ」
「そうなんだ」
《間違いなく彼は…》
《あの人と関係持ったなんて口が避けても言えない…》
《だけど…本当、人気なんだね……向こうは私の事なんて覚えてないんだろうな》
そしてしばらくして、お開きとなり帰るのだった。
私達の出逢いは
偶然でも 必然でもない
一体何をそうさせる……?
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