(三)-5

 それ以後は、あまり人と話さないようしていたの。何かのきっかけで何かしゃべったりしないように。そうして去年までなんとか母と二人で暮らしてきたの。

 去年この家を相続して、最近になってようやく売れたときは嬉しかった。これであの男の呪縛から解放される、と思ったわ。

 でも、ここを買った不動産業者が、裏の空き地も買い取ってマンション開発をするなんてことを言い出すとは思わなかった。桜の木は移植されるか切り倒されるのでしょうね。そうしたらまず間違いなく、ここも掘り起こされてしまう。つまり死体も見つかってしまうわ。

 だから、私、死体を他のところに捨てようと思って掘り起こしに来たの。まさかここへきてトラブルが起こるとは思ってもみなかったけど。


(続く)

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