(三)-3

 母はなんとか起き上がり、キッチンから包丁を持ってきて、私に覆い被さっているあの男の背中に包丁を突き立てたわ。

 あの男は大きなうめき声を上げて悶絶していたわ。そのあと母を殴ろうとしたけど、すでに母は何度も何度も包丁を抜いては刺していたの。おかげでそのまま死んでくれたわ。

 それで私はあの男の体重に押しつぶされそうになったけど、なんとか母に助けられたの。

 その後よ。母と私は散々泣いた後、夜中になるのを待って、桜の木の下に穴を掘った。そしてあの男を埋めたの。まるで梶……、何とかっていう人の小説みたいにね。


(続く)

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