第13話
一週間が経った。
最初あったあいつからの接触も今のところ皆無だ。
その他にもこれといった大きな動きはない。ただ、あいつの部屋からの嫌な視線はずっと感じている。
あいつは学校へも来ていないようだった。理由は今回も知らんし、知りたくもない。
「カズヒトはこのまま終わると思う?」
「終わればいいな、とは思う。でもあの視線がある限り予断は許されない」
「だよね」
ミナミが学校に来なくなってからもミユキとは登下校を共にしている。ミユキは気が置けなくて落ち着く。
家に一人でいるのが嫌なので、下校後はミユキの家にお邪魔している。ミユキと二人きりではない。小母さんも家にいる。
宿題や予習復習などもミユキと二人でやって、何もないときはサブスクで映画を見たりしている。
「でも明日からは真っ直ぐ帰るよ」
「え? なんで」
「いや、流石に毎日毎日お邪魔しては申し訳ないよ」
「そんなことはないから。ずっと一緒にいても大丈夫なんだよ。一人じゃ危ないよ」
視線は感じるけど、これと言って何も起きているわけではないし、いつまでもミユキに甘えてばかりではいられない。
「たとえ凸されても玄関は開けないし、あっちは所詮女の子だから力じゃ負けないよ」
「でも……」
「大丈夫だよ。何かあったら直ぐに連絡するし、アプリも入れたしね?」
「……うん。わかった」
更に三週間経った。
あいつはいつの間にか普通に登校しているようではあるが、あの騒ぎのせいで孤立しているとヨースケから聞いた。
こちらへのアプローチは一切ない。平穏そのもの。
あの変な視線もいつの間にか感じなくなっていた。そろそろ諦めたのかもしれない。精神科に通っているという話も聞く。
「お前とミユキちゃんが付き合っているって噂だけど本当のところどうなの?」
「?」
藪から棒にヨースケに聞かれる。
確かに朝に夕に登下校は常に一緒にいる。学校にいるときもそれなりに長い時間を共に過ごしているし、女子の中ではダントツに仲がいいのは確か。
しかし。
「それはないよ。俺となんかミユキの方からお断りだろ?」
そのようなことは一度も匂わされたこともないし、俺からも一切していない。そもそも長い付き合いの友人であっても愛情など俺に持つわけ無いだろう。
「それに俺、事故物件だぞ?」
「事故物件! そりゃ面白い言いぐさだな」
頭の可怪しい女と二年も何も気づかずに付き合っていたような男だ。俺自身まともではないのでは、と思うこともある。
「それに、あれと別れてまだひと月だぞ。さすがの俺でもまだ傷は癒えていないさ」
ミユキはいいやつだ。これは間違いない。
だけど、それとこれとは話が別だ。今後は少しそこら辺にも考慮が必要か。
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