第4話
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※※※
登校時、ミナミと遭遇したくないのでいつもより三〇分早く家を出る。しかも勝手口から出て家の裏にある駐車場の方から道路に出る。
昨夜はスマホを集中モードにしていたから気づかなかったが、ミナミからメッセージが二〇件以上、通話着信履歴も一五件以上が残っていた。
今更なんの用事なのか知らないが、迷惑以外に何もないので全削除即刻ブロックしておいた。
久しぶりに一人での通学になるがなんとも清々しい気持ちになる。満員電車でさえ苦にならない。
よくよく考えたら、ミナミと付き合っていた頃は、朝は玄関先まで迎えに行き、満員電車では腕を突っ張ってミナミのいるスペースを作り出してやっていた。
荷物さえ持ってやることもあった。無駄に化粧品だのファッション誌などが入ったバッグは異常に重かったのを記憶している。
たまのデートは昨日みたいに繁華街などには行かず、そこら辺で飯を奢らされて家に戻ってはセックスしていただけな気がする。
高校だけでなく、中学、小学校のときも似たりよったりでいいように使われていたような気がしてきた。
「なんだ。別れて正解だたんじゃないか……」
今までずっと騙されて都合よく扱われていたような感じだ。ぜんぜん気づかなかった。恋は盲目とはよく言ったものだ。
駅から学校までの道を歩いていると後ろから声をかけられる。
「よっ、カズヒト。今日は早いな。あと、今朝はひとりなのか?」
「おっ、ヨースケか。おはよう。ちょっと色々あってな、一人になった」
ヨースケは高校に入ってからの友人だ。教室での座席も近くて一番の友だちといっていいかもしれない。
「一人になった、ってどういうことよ? 意味深じゃん」
「そのままさ。あの女とは別れた。だから一人」
もう、ミナミという名前さえ口にしたくないぐらいには嫌っている自覚がある。
「え? だって、金曜日の放課後まではあんなにベタベタしていたのにか? もしかして喧嘩したのか?」
「違う。端的に言うと浮気されたから、切った。ただそれだけ」
触れ回るつもりはないが、いちいち隠すつもりもない。聞かれたら、事実を伝える。
「そっか。あの子、可愛い顔してクソビッチだったんだな。気を落とすなよ」
「さんきゅ。もう吹っ切れたから平気だ。まあ暫くは面倒くさそうなこと起こるかもしれないが、そこは上手いこと頼むよ」
ミナミとか浮気相手の男とかが絡んでくる可能性もあるから。助けはいくらあっても困らない。
「おっけ、おっけ。オレはお前の味方だからな。遠慮なく何でも言ってくれ。ところで浮気相手って学校のやつか?」
おまえ、ゴシップ好きだったのか?
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