第26話 家族崩壊!





 頑としてしらを切る詩織に家族が、出払っている時間帯を見計らって隠しカメラを設置した雄介。


 台所の戸棚のもう何年も使われていない皿のセット箱に、コッソリ付け全く気付かないように取り付け、後はリビングの置物に、もう一つは隼人の部屋の棚の上の滅多と触らない忘れ去られた自動車のプラモデルの中に取り付けた。


 隼人はあれだけ家族が、出払って居なくなると、火が付いたように求めて来た母詩織が、最近は妙に変だ。


「ああああ……今日はお友達と会わなければいけないから……お留守番頼むね。それとしっかり勉強してね!」


 何かしら……すかされた感のある態度に、何かしら……拒絶されたような……肘鉄砲を食らった感が否めない。


(ああああ???もしかして僕の事が嫌いになったのかな~?……イヤ!イヤ!あの日母と肉欲にふけっていると、いつも仕事で真っ昼間に帰って来る事など一度たりとも無かったので思いっきり楽しんでいたのだが?さっさと帰って来た父雄介。そして母が動揺して、取るものも取り敢えず日頃の慎重さも忘れて、慌てて父を出迎えた為に、乱れまくった醜態を晒してしまった。あんな格好では気付かれるに決まっている。バカな事を!僕に聞かれたくないので離れに強引に連れて行き、それであの時、父と母は離れで確かに………?あの時何やら言い争いをしていた。『男でも出来たのか——っ?お前という女は————!』その後……『ああああ~~~~*。*・💋⋆。♥』いやらしい喘ぎ声が微かに聞こえて……俺は絶対そんな状況を聞きたくないので、居ても立っても居られずイヤホンで大音響にしてミュージックを聞いたから、後の話は聞いていなかった。きっと父に何か言われたに違いない……}


 それでも若い盛り、興奮して勉強にも身が入らない。


「ねえ~?どうしたんだよ~?……俺…我慢が出来ない!」そして股ぐらに手を忍ばせ、たわわな乳房を後ろから揉みしだいた。


「ヤヤッ止めて!」


 我慢が出来ない隼人は母詩織を、リビングのソファーに押し倒し獣のように荒々しく衣服を剝ぎ取り、唇を乳房を手で舌で舐めまわし狂った獣のように這いずり回りました。女盛りの幸子に我慢が出来る訳がない。


 雄介からあれだけ釘を刺されていたにも拘らず、抑えていた欲望が一気に吹き出しタガが外れたように延々と肉欲に溺れていった。


 今までの分を取り戻すかのように………気が付けば、優に2時間は経っていた。


 皆が出払ったある日(愛する詩織がまさか親子同然の隼人と、セックスなど絶対にする筈が無い。あれは何かの勘違いに違いない。それを立証する為にも隠しカメラで日常の様子を見てみよう。まあ~?安心材量の一つだ)そして……画像を映し出してこっそり見た。


「ココココッこれは………ナナ何だ———っ!アアアア————!!!ココ殺してやる———!」


 雄介は余りにも幸子を愛し過ぎていたので、苦しすぎて、悲しすぎて、眠り付く事すら出来ない。


(幸子と出会ってからというもの毎日が幸せ過ぎて浮足立っていた。まるで雲の上をフワフワと浮いているようにいつも心は踊っていた。こんな美しい魅力的で優しい女性を自分だけの者に出来るなんて……なんて俺は幸せ者なんだ。それが実は、とんでもない男狂いの阿婆擦れだったとは?嗚呼嗚呼……許せない!許せない!許せない!)


 それからは、この一家は修羅場と化し……毎日が地獄のような日々になって行った。隼人は一刻も早くこの修羅場から逃げ出したい。家を出るチャンスを狙っていた。


 ちょっとした歯車の狂いから、取り返しのつかない、こんな恐ろしい事になろうとは思っても見なかった。


 ◆▽◆

 2014年7月***


 月見草が見頃を迎えている。いよいよ本格的な夏本番を迎え、外ではかわいい天道虫が赤にま~るい黒の鮮やかな紋様のオシャレをして得意げに飛んでいる。


(子供過ぎて……最初は大切な愛する母を汚す事なんか、死んでも出来ないと思っていたさ。だが母が余りにも身体を摺り寄せて……どうしようもない俺。只々興奮して……抑えきれない欲望の捌け口処理の為に…あんなに大切な父を豹変させてしまって……また…あんなに子供の頃は甘えさせてくれて大好きだった母を、いつの間にか、只の性処理道具にして……只々抑えきれない欲望に狂い……ふけった挙句の果てに、あんな恐ろしい事件に…ああああ……悔やんでも悔やみきれない!)


 もう…あの残酷な事件から14年。もう直ぐ31歳のスホは今尚、若気の至りで父雄介と母詩織の人生を狂わせてしまった事への、懺悔の念に苛まれている。

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