前のエピソード――第2話　一家殺害事件

　実はこの家庭は普通の家庭ではない。

　妻の詩織、娘のすみれ、百合の3人は親子なのだが、夫の雄介とは夫婦関係ではない。また隼人も全くの赤の他人なのだ。

　これからこの家族の闇の部分が、徐々に頭をもたげて来ることになる。

　2000年11月の、肌寒い残虐な事件が起こる朝の事だ。

「会社の売上の一部から北朝鮮に送金しなくては……税金対策の為もあるが、人質状態の妹や弟が北に残っているから……だから朝鮮総連に顔出してくるから…」

　※万景峰号（マンギョンボンごう、まんけいほうごう、ばんけいほうごう）は、在日本朝鮮人総連合会（朝鮮総連）の資金で建造された。北朝鮮と日本を往来し、北朝鮮への送金や工作活動に活用されていた工作船。

「私は今日あの男と片をつけて来ないと大変な事になるから……ちょっと遅くなると思うから……」

　夫？の雄介と妻の？詩織は、この会話を最後に永遠の別れとなった。

　この残虐な事件の裏には、一体何があるのだろうか？

　🚢🌫️🌊

　1910年には日本が朝鮮を併合し、植民地化した。

　日本ではこの時期を日本統治時代と呼んでいる。一方、【大韓民国】においては、日帝時代、日帝統治時代、日本統治時代、日政時代など様々な呼称があった。

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　1950年から朝鮮戦争勃発。

　南北分断状態のまま休戦協定が結ばれ、現在に至る。

　大韓民国（韓国）

　朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）

　２つに分断した。

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　1930年代後半には、日本は朝鮮人（南北）動員を開始。工場や炭鉱で強制労働させたり、日本軍兵士として徴兵したりしていた。

　丁度その頃、北朝鮮から強制連行されて来た岸田太郎（リ・ジフン）20歳は、炭鉱で強制労働をさせられる事になった。

　この岸田太郎（リ・ジフン）が、貧乏のどん底からパチンコチェ—ン『キシマル』を、一代で起業した男なのだ。

　最初は露店商から始めて、今や日本一のパチンコチェ—ン店にまで上り詰めたのだった。

　※昔の話にはなるが、在日同胞（韓国人・北朝鮮人）の経営するパチンコ会社に、在日韓国人が従事するケースが多い理由の一つには、彼らに対する就職差別という社会的背景があった。それは過去に植民地化していた経緯があったからに他ならない。現在はそのようなことは無い。韓国は、先進国の成長史を大きく縮め圧縮して発展。その発展には目を見張るものが有る。