ルカの家で

私は今、ルカの住むお家にやってきてます。

ルカに大切な話があるから来て欲しい、と呼ばれたので

一体なんの話なんだろうと不安になりながらもやって来ました。

「ルカの話って一体なんだろう?」

そんな事を考えていたら、ルカのお家が見えてきた。

私がルカの家の前に着くと、家の中からルカの家の執事さんが現れて、こちらへと案内してくれた。

そして、応接室に通されると、そこにはルカとルークが難しそうな顔をして座っていて、私が部屋に入ると二人は顔を上げて私を見た。

私は二人の向かい側の席に座り、何を言われるんだろうとドキドキしていた。

「いきなり呼び出してしまってすみません」

「ううん!でも、私に用事があるって何なのかなって……」

私がそう言うと、ルカは真剣な表情をして私を見つめてくる。

それにつられて、私も緊張してしまい体が強張ってしまう。

「沙羅は魔物という物を知っていますか?」

「魔物……?そんな物がこの世界にはいるの?」

「………はぁ、良かった」

私の答えを聞いたルカは、ホッとした表情をしていて 私はどういう事か分からず困惑している。

すると、今度はルークが口を開く。

先程までの真面目な表情とは一変して、いつも通りの優しい表情になっていて 私も安心する。

「心配させちゃったよね、ごめんね。少し確認したい事があってね……」

そう言ってルークは、西の町に現れた魔物の事を話し始めた。

最初は魔物なんて居るなんて信じられなかったけど、実際に騎士の人達が何人も怪我をしたと聞いて、魔物の存在を信じざるを得なくなった。

だけど、それよりも驚いたのが私が現れた日に魔物が現れた事。

「ルカは私が何か関係あるのかもと思って呼んだの?」

「…………ごめんね。沙羅が関係あるとは思ってなかったのですが、やっぱり本人に聞かなくてはと思いまして……」

そう言った後、ルカは申し訳なさそうに俯いて黙り込んでしまった。

ルークの方を見ると、困ったように笑っている。

ルカにこんな顔をさせるつもりは無かったのに……。

私のせいで二人が困ってる! だから私は、自分の気持ちを伝える事にした。

「私は全然気にしてないよ……!そういう事があったら誰だって確認したくなるもん、だから大丈夫だよ」

私が笑顔で言うと、二人はホッとしたような表情で私の事を見ていた。

私は二人を元気づけようと、なるべく明るい声を出して話を続けた。

「でも、どうして魔物が急に現れたのかなぁ……誰かが召喚したとか?」

「沙羅もそう思いますか?」

「じゃあ……ルカもそ?」

「はい、力のある魔術師の仕業だと私は睨んでます」

「でも、どうしてこんな事を」

「聖女の力を悪用しようとか考えてるんじゃない?」

ルークはそう言って苦笑いしていた。

確かに、聖女の力があればなんでもできると思う。

でも……それだったらなんで魔物を……?

「沙羅、そんな顔しないで?沙羅の事は私が守るから」

「ありがとう……でも、大丈夫だよ!自分を守る術はあるんだから!」

私はそう言って笑ってみせたけれど、本当は怖くて仕方がなかった。

もし魔物に襲われたりしたらどうしよう? その時、私はどうしたらいいの?

「大丈夫そうには見えないけど?」

「そ、そんな事ないよ……!」

私は焦って否定してしまったけれど、それでもまだ怖い。

魔物に会った事はないけれど、きっと恐ろしい姿をしているに違いない。

そんな魔物に襲われてしまったら……

考えただけで震えてしまう。

そんな私を見て、ルカはため息をつく。

そして、ゆっくりと私に近づいてきて、優しく抱きしめてくれた。

その温もりを感じているうちに、段々と落ち着いてくる。

そして、暫くそのままの状態でいた後に、ルカは私の耳元で囁く。

それはとても甘くて、まるで砂糖菓子のように溶けてしまいそうな感覚だった。

「本当の事を教えて?」

「……ほんとは、すごく怖い……でも、ルカには迷惑かけたくないから……」

「そう、でも大丈夫。私は沙羅の事迷惑だと思ったことは一度も無いわ」

そう言われて、今までの事を思い出す。

ルカはいつも優しかった。

でも、それは聖女として接してくれているだけなんだと思っていた。

けれど、それは違うと今なら分かる。

「私もルカを守りたい……ルカを守れるくらい強くなりたい……」

「だったら、学園で沢山学ばないとね」

「うん……!私沢山勉強する!」

私がそう言うと、ルカは微笑んでくれた。

それが嬉しくて、私も自然と笑顔になる。

私も頑張って強くならなくちゃね。

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