手紙の返事

まだ外は薄暗い時間に目が覚めた。

隣を見ると、いつものようにムルはまだ眠っていた。

起こさないよう、そーっと起き上がり窓の外を見てみる。

今日もいい天気になりそうだなと思いながら、着替えをして身支度を整えた。

「朝食にはまだ早いし……ちょっと散歩でもしようかしら」

そう呟き、ムルを起こさないように静かにドアを開け外に出た。

昨日の雨で地面が濡れているのか、空気もひんやりとしている。

外に出ると、空には雲一つなくとても綺麗な青空が広がっていた。

「ん~!気持ちいい……」

大きく伸びをして深呼吸をする。

やっぱり朝の空気は美味しい、改めてそう思いながら ゆっくりと歩き出した。

歩き後ながら、庭に咲く花達を見る。

色とりどりの花達が私を迎えてくれてる気がして嬉しかった。

「あれ……?」

暫く歩いていると、前から慌てたような顔をした執事がこちらに向かって 走って来ていた。

「お嬢様ここに居たんですね」

「えぇ、そんなに急いで何かあったのですか?」

「お嬢様にお手紙が……」

「お手紙?」

「はい……こちらです」

「……沙羅からだわ」

手渡されたのは沙羅からの手紙だった。

もしかしたら何か良くないことが起きたのかもと心配になったが、 その考えはすぐに消えた。

手紙を読んでみるとそこには学園に行くことになった事と、私への感謝の言葉

そして……

「あの人……ほんとに懲りないわね……」

アルマ様はあんな事言って沙羅を婚約者にしたくせに、未だに私の事を

諦めてくれないらしい。

どうしたら、あの人は私と沙羅から興味を無くしてくれるのだろう……

「お嬢様大丈夫ですか?」

「えぇ、ちょっと考え事をしていただけよ、ありがとう」

早くあの人の事をどうにかしなくては……けれど、今は沙羅の学園

生活の方が大事だ。

沙羅の学園生活を邪魔するような事は絶対あってはならないから。

その為にも、私がしっかりしなくては。

沙羅には、学園で楽しく過ごして欲しいもの。

「お嬢様、そろそろ朝食の時間

ですので食堂へ参りましょう」

そう言われ時計に目を向けると、もうすぐ7時になるところだった。

思っていたより時間が経つのが早かったみたいだ。

「分かりました、それじゃあ行きましょう」

「お嬢様、食事のあとお話があると旦那様に仰せつかっております」

「お父様が?分かりました」

お父様が私に用事?一体なんだろうか? そう疑問に思ったが、とりあえず食事を済ませてから考える事にした。

食堂に向かうと、皆席についていて慌てて私も席に着いた。

「お父様、私にお話しがあると伺ったのですが……」

「あぁ、食事の後私の部屋に来てくれ、そこで話す」

「分かりました」

お父様が私に話って一体なんだろう……

アルマ様の事?それとも沙羅の事?色々と思いつくことは

あるけれど、わざわざお父様が私を呼び出すくらいの事なのだから

もっと違う話なのか……なんて考えていてもしょうがない、そう思った私は

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