今冬ゴーストライターデビューします

〈これは何もできなかった僕の後悔と反省の日記だ〉


 そんな書き出しで、空白だった僕の日記は始まる。その後は約一ヶ月に渡る怒涛どとうの展開とは無縁な、懺悔ざんげの文章が延々えんえんつづられていた。

 読み終えた者は、目の前の僕に向かって静かに告げる。


「これ、夏休み最終日にやったな? 課題サボっていただろ」


 先生は鋭い。僕は後期のスタートダッシュにえ無く失敗した。



 後期も終盤のある日。突然、僕は勇者になった。魔物を倒しては町民を救い、僕が魔王に勝利すると世界は平和になった。


「忙しい冬休みでしたよ」

「君の長期休みはいつも壮大だな。先生はもう君の作品のファンだよ。でもな、これは絵日記の課題だ」


 苦笑いを浮かべた先生は、それでも僕に花丸をくれた。

 今回はサボっていないから、僕だって堂々とできる。

 

「ちなみに原作者はお父さんで、挿絵はお母さん、代筆者が僕です」

「……家族の絆が強いね。できれば先生の感動を返してくれ」


 僕は先生から課題の再提出を命じられた。

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