第3話 サバオ
なぜだろう……なぜユキナは、あんなにニヤニヤしてるんだ?
オレの名はサバオ。
林家で飼われてる、サバトラの猫だ。
オレは元捨て猫で、拾ってくれたサツキちゃんに惚れている。
毎日ご飯をくれるお母さんはまあまあ好きだが、あとはそうでもない。
サツキちゃんの妹ユキナは、オレのそんな態度を面白く思っていない。それはずっと前から知っている。
だからなおさら、このニヤつき顔が気になるのだ。
その手には、小さな瓶が2本握られている。
まさかオレ達用の飲み水が入った皿に、毒でも入れたのか? いや、それではユキナが気に入ってるチャーコまでもが犠牲になる。
ユキナとて、オレ達の中で唯一構ってくれるチャーコを亡き者にしようとは思わないだろう。
オレは、なんの不信感も抱かずに水を舐めているチャーコとキジタローさんを横目で見ながら、そっと皿の水に近づいた。
今のところ、
……オレの気にし過ぎか……
喉の乾きに耐えられず、オレはユキナのニヤつき顔を警戒しつつも皿の水を舐め始めたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます