2#5



「さぁ!さっくん!ゴハンも食べたことですし一緒にお風呂でキレイキレイしましょうか!」


「あっ、ごめん聖歌ちゃん。俺これからバイト·····」



昨日は休みだったが今日はバイトがあった。休みだったからこそ昨日は聖歌ちゃんを家に招いていたとこはある。


学校を休んでバイトには行くのか?とツッコミどころはあるが、そもそも学校サボってエロエロ·····じゃなくていろいろしてるし、今更だろう。


学校は休んでもお金は減らないが、バイトは休むと給料減らされてしまう。というかバイト先に迷惑をかけてしまう。いや学校休んだら休んだで授業料とかそこら辺の事はあるんだけど、それは置いといて。


ママと一緒にお風呂とか最高に魅力的だけど致し方あるまい。断腸の思い。



「わかりました。ママも一緒について行きます」


「どうしてそうなったのかな!?」


「ママにはさっくんが働いているところを近くで見守る義務があると思うんです。だから一緒に行きたいです。邪魔しないで応援だけしてますので行きたいです」


「うん。普通にそれはヤメテ欲しいな!」


「あとさっくんがお仕事しているところを記念に撮影したいです。お写真いっぱい撮ってさっくんの思い出アルバム作ります!」


「ナニソレ恥ずかしい·····ヤメテ·····ヤメテ·····」



バイトにママ(同級生)同伴·····キッツぅ·····。


なんとか押し止めたいところではあるが、聖歌ちゃんは着いてくる気まんまんで、既に外出する準備も初めてしまっている。



ど、どうしよう·····。



「せ、聖歌ちゃん·····。ホント着いてくる気?」


「はい!さっくんとずっと一緒に居たいです!」


「ぐぬっ·····」



そんな曇りない笑顔で言わないでもろて·····その気持ちは大変嬉しいんだけど、それじゃ「いちいち着いてくんじゃねぇよ糞ババァ!」なんて言うに言えない·····。



「俺もずっと一緒に居たいって気持ちは一緒なんだけど·····。そろそろ一旦家に帰ったりとかした方がいいと思うんだけどなぁ·····」


「帰る?何処にですか?ママのお家はさっくんの居るところですよ?」


「お、おう·····」



聖歌ちゃんこのまま俺ん家に居座る気?いや、いいんだけど·····いいのかなぁ?



「えっと·····それは大変嬉しいんですが·····大丈夫?いろいろ問題が·····」


「大丈夫です!なんてたって催眠アプリがありますので!だいたいなんとかなります!」



それはそうかもしれないけども。



「そ、それだったらさ!やっぱりいろいろ準備が必要になるんじゃない?着替えとかその他諸々」


「確かにそうですね·····!そこに気がつくとは流石はさっくんです!天才です!いい子いい子してあげます!なでなで」


「でへへぇ」



ああー·····ママにナデナデされるの気持ちいいんじゃぁ·····。



じゃなくて。



「だから聖歌ちゃんは俺がバイトに行ってる間に準備をしてくるっていうのはどうでしょう?」


「うーん·····確かにそれがいいかも知れませんが·····でも·····さっくんのお写真·····」


「そ、それに!俺ってこれまでほぼほぼ1人ですごしてきたからさ。もしバイトから帰ってきて誰かが家で待っててくれたら嬉しい·····かも?」


「さっくん·····!なるほど·····そういうことですか·····わかりました!それではママはさっくんの帰りを待っていようと思います!」



ギュッと拳を握って決意したように聖歌ちゃんは宣言した。


よし。なんとかママ同伴バイトは回避出来そうだ。



一先ず、話が纏まった所で2人揃って家を出る。俺はバイトに、聖歌ちゃんは1度家に帰って着替えなどを持ってくる事になった。



「それではさっくん!合鍵をください!」


「あぁ、そっか。それ無いと家に入れないもんね。はい合鍵」


「ありがとうございます!」



特になんの疑問を持たずに聖歌ちゃんに合鍵を渡した。



··········。



よくよく考えてみると何かとんでもない状況になってきた気がする。


クラスメイト·····それも噂の聖女様に自分ん家の合鍵を渡した。そしてその聖女様はこれから俺ん家に居座る気でいる。


これ同棲·····?


同棲だよなぁ·····。


やっぱり問題がある気がしてきた。催眠アプリであれこれ好き勝手に出来るとはいえ、学生の身分でひとつ屋根の下。


当然、そんな2人に何か起きない訳もなく·····。


というかいろいろともう既に起こってるんだけど·····。



誰かと一緒に暮らすなんて、俺にしてみれば殆どが初めての経験だと言っていい。父親とは一緒に暮らしていたという感覚はほぼ無い。


果たして俺は上手くやっていけるのであろうか?


そんな不安はあるが。



「にこにこ」



隣で並んで歩く笑顔の聖歌ちゃん。


うん。めっちゃ可愛い。


こんな子と一緒に暮らすのかと思うと不安以上に期待が勝った。


これからいろんな問題も出てくるだろうし、失敗したり、やらかしたりする事はおそらくあるだろうけど。


それ以上に楽しく幸せな日々が待っているんじゃ無いかと、そう思った。






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