化物少女K -School Girls Strike-

物書未満

Klasse1 入学

「んーなぁ! ここか、その学園とやらは」

 私は今、都会の端っこにしちゃあやけに重っ苦しい校門の前に立っている。


——数週間前

「んぁ? 極東の学園に入学しろ、だと?」

 そんな素っ頓狂な話がオペレーターから放たれた。

「はい。Ms.Kはこれから女子学生として極東で生活してもらいます」

「なーんでお前さんがそんな話持って……ああ……」

 チクショー、また組織の連中が何か欲しがってんな。今度の極東潜入は一体何が目的だ?

「Ms.Kは極東に発生している『狂人』というのをご存知ですか?」

「ん……ああ、あれか。たまにニュースでやってるが」

「それのサンプルを盗ってきて欲しいというのが組織の依頼です」

「ふーん。だがそいつと学園入学、どう繋がるんだよ」

「それはですね……」

 オペレーターの話を聞くに極東に出る狂人というのを退治しているのが学園機関らしくそこに潜るには私がうってつけとのこと。こりゃあ組織に土産持ってくのが多くなるなぁ。どうせ狂人のサンプル以外に欲しがってるモンはあるはずだ。

 あーあ、ヤダヤダ。誰かに押し付けてぇよ。

「あ、もう受理したので断れませんよ?」

「だぁー! お前のことだからそうとは思ったがよ……」

「それに……カイト君が楽しみにしているようで」

「何っ! カイトがか!?」

「はい。『ケイトの制服姿が見たい!』とか『学園ってどんなところか知りたい!』とか『久しぶりに失敗作以外と戦ってるところが見たい!』とかで大興奮してましたね」

「ぐぬぉ……」

 カイトが望んでるのか。あーカイトがなぁ。カイト、カイト……むむぅ。よし!


「やってやろうじゃねぇか。学園生活とやらを、よ」


——今

「おーい、誰かいるかー?」

 門に向かって問いかける。連絡は入ってる筈だ。守衛の人間でもいないかね?

「はーい。本校に何用でしょうか?」

 おっ、出てきた出てきた。

「ここに入学予定の『黒崎 京』ってんだが連絡ないか?」

「黒崎……ふむふむ。ご案内しますね」

 よーし、偽名はちゃんと通ったな。まぁ私の経歴は如何様にでも弄れるし、組織が上手くやったんだろう。そんなめんどくさい部分はブン投げてやらなきゃ割に合わねぇ。

 と、理事長室とやらに案内されたようだ。

「はじめまして、黒崎さん。私、本校の理事長をしております、『西宮 絵里』と申します」

「とりあえずはじめましてだ、理事長さん。しかし転校生は理事長と挨拶するもんなのかね?」

「ふふっ、年上に対してその態度、経歴と全く矛盾はありませんね」

「なんだ? 気に入らんか?」

「いいえ、むしろ面白いです。貴女の実力、如何程かますます気になりますね」

 ははーん、この理事長、自分の趣味で私を呼んだな? なかなか見る目はあるみたいだ。

「まぁいい。私は一年生ってことでいいんだよな?」

「はい。今年度の二学期の途中ですのでまだ馴染みやすいかと」

「はいよ。ま、理事長さんの期待に応えられるかは知らんがやらせてもらう。それじゃ」

「はーい。良き学園生活を〜」

——バタン

 さあってと、入っちまったもんは仕方がねぇ。やりますか。

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