盗作の存在可能性

 プロの世界でも盗作疑惑、または本当に盗作だったという事件が度々起きる。だとしたら、アマチュアの世界でも起きて不思議はない(二次創作は除外しておこう)。


 2ちゃんねるで『あれは私のベンツですけど。』という小咄的なネタが流行った事があったらしい。が、これは某作家のショートショートが元ネタと判明しているという。僕も敬愛する作家で、当該のショートショート集も読んだ事があるのだけれど、僕の脳には内容が残っていなかった。


 知らず知らずにパクってしまう事も多々あるのではないか。顕在意識では忘れていても潜在意識には残っているという可能性は捨て切れない。これは意図的な盗作よりも或る意味で厄介だ。

 そう言えば『ドラえもん』で、デカいトンカチで健忘者の頭を叩くと記憶が蘇るという道具が出て来る回があった。脳内には記憶を入れておく箪笥があり、『忘れる』とは記憶が箪笥内から消えたのではなく、箪笥の抽斗が開かなくなった事で起きる現象だと説明されていた。

 この話を知って早速パクる誘惑に駆られたそこの貴方――同士と呼ぼう。


 カクヨムに盗作がどれくらい存在しているのか。思わず考えてしまう。プロの作品からだけでなく、カクヨム作家同士で起きているだろうし、孫パク、曾孫パク、玄孫パクなんてのもあるかも知れない(今ネタが浮かんだが、ここに書くとパクられるかも知れないので秘密)。そして、全部AIに書かせたものも紛れているかも知れない。

 以前、或る有名な歴史的事件の考察的投稿作を読んだ。既に同じ説を唱えている人が居る考察だったが、それ自体は盗作とは言わないだろう。ところが、ネット上に同じ説を唱える人の文章が存在し、一部の文章に修辞レトリックまでほぼ一緒のものがあった。投稿者にやんわりと指摘したところ「この程度ならば似る事があるので問題ない」だった。他人が書いたものを参照する事はあるにしても、表現までそのまま借用してしまうのは何とも――。


 以前、カクヨム内で自作と同じタイトルの投稿作を見掛けた事がある。基本的に普通名詞のワン・ワード・タイトルは付けない主義だけれど、偶々付けたら被ってしまった。

 投稿日時は先方が何ヶ月も先だったと記憶している。でも、拙作は元々二十年くらい前に書いていたもので、なんて言っても第三者の目の触れる媒体で先に開示した者勝ちである。何れにしろ、そもそもタイトルは著作権外でもあるので、完全なるセーフ。

 そういう意味では、特定のジャンルでお馴染みの長い長いタイトルは丸被りする事はまずないので、オリジナリティーを担保出来る――もとい、タイトルはオリジナリティーを担保出来る――そもそもオリジナリティーに拘るジャンルだったか?

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