そして、僕たちはプールに少女漫画をばらまいた

@sakuma_minoru

プロローグ


忘れられない景色がある。

中学三年の夏の大会。

水を掻いた飛沫の向こうで笑って僕を待っている少女がいる。

ストロークのときに一瞬捉えた。どこにいても目を惹く、特別な女の子だった。

その冬、千葉瞳未ちばひとみが死んだ。

隣の家に住む幼馴染の女の子だった。

葬式は家族だけでひっそり行われ、次会ったとき瞳未は骨になっていた。

──それ以来、僕の心はプールに漂い続けている。


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