2🏡あの不動産屋が帰って来た!

オカン🐷

第1話 南の島

  初めてお読みいただく方

「🏡あの不動産屋は何処に消えた!」からお読みいただくと、ストーリー展開がわかりやすくなります。お手数ですが、よろしくお願いします🎵





 海鳥の鳴き声と時折聞こえてくるのは船の汽笛だけだった。

 スナック「みね」は漁港の外れににポツンと佇んでいた。

 不動産詐欺事件の犯人、大城美弥子の実家であり現在の居住地でもある、南の外れにある島に大谷一平は来ていた。

 磯の香りが鼻を掠める。


「はあ、東京からわざわざご苦労様です。この間も本島の刑事さん2人が訪ねてきましたんですわ」

 

 この島には派出所もなく、港の上船乗り場の所長驫木とどろきが案内を買って出てくれた。驫木は東京で暮らしていたことがると、海の彼方を眺めながら言った。

 大城美弥子の家の鍵も預かっていると言う。


「事件に関わってしまって、どうも気にかかるんです。動機はいったい何だったのかって」

「美弥子の不動産詐欺事件ですな。あれは金ですわ」

「金だけが目的だったと言うんですか?」

 

 コンクリートからの照り返しが容赦ない。

 一平は滴る汗をハンカチで拭い、上着を脱いだ。


「美弥子が10年前にこの島に戻って来て、廃屋同然だったスナック「みね」をリフォームして2階に住みだしたんですわ。そのとき「みね」を抵当に入れて借金をしたのが嵩んで、もうどうにもならんようになったんですわ。こんなちっぽけな島で客も来ません。せいぜい亡くなった父親の漁師仲間が顔を見せるだけで、それも漁を廃業するものがふえて。開けてるだけで赤字になる店を手放して、本島に渡ってやり直したらどうだって言うたんですが聞きよりませんで」

 

 驫木はスナック「みね」の1つだけある出入り口の扉の鍵を開けた。

 すると一平の背後を5人くらいの男性が連れ立って、大声で話をしながら通り過ぎて行った。


「この島にも外国人が住んでいるんですか?」

「いえ、住人じゃありません」

「えっ」

「見逃してやってください。この島の雑貨屋で買い物してすぐに帰って行くんです。何の悪さもしないで、雑貨屋も儲かるし、持ちつ持たれつってやつです。さっ、中にどうぞ」

 

 驫木に促された一平は「みね」に足を踏み込んだ。

 エアコンがついているわけでもないのに、空気が冷たく感じられ、アルコールと煙草の澱んだ臭いがした。




 お読みいただきましてありがとうございます!

 序盤で御感想をというのもせっかちな話やえど、あまり静かやと不安で堪らんようになります。毎度のことですが、このまま書き続けてええもんかと。


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