第14話

 驚きの会話をしていたのはお母さんがお花屋さん、主に洋蘭を扱う、なんだか高級そうなお仕事のパート中だった。日当たりがいいとはいえない家で唯一日光がよく入る午後2時のこと。

 お兄ちゃんは、言葉に詰まって、少し考えて。

なんだかはたからみたら悩んでいるようなのに。わたしから見れば建設的な思考を巡らせていそうだった。

「お前、じいちゃんちは好きか?」

名前で呼んでくれない。トウヤにいちゃんはずるい。

「好き。」

「そこを継いで、継がせてもらって、将来一緒に住むのはどうだ?」

「お兄ちゃん、」

それ、またプロポーズみたいだよ。一緒に住むか聞かれてるだけだけど。

「お兄ちゃん、なにがしたいの?」

「なにがしたい、か」

だれかをしあわせにしたい、とかか。

なんだかそんなのが頭をよぎる。頭。そう。頭。冴えてきた。トウヤお兄ちゃんへ、反撃だ!

「お兄ちゃん、わたし、トウヤお兄ちゃんが、初恋だよ。どうする?」

 お兄ちゃんが、なんだか、難解な表情をした。難しいのに、近くにいる人を意識するのは解析できる、そんな思いでも抱いてくれるだろうか。

「お兄ちゃん」

かんがえなおしたほうがいいよ、

「初恋は実らない」お兄ちゃんが急に言う。

「う、うん。」わたしも同意?する。

「つまり、オレとお前、いのりが。む、むすばれるのは、おかしい」

「……うん」

 なんで残念そうなんだ。わたし。

 またフラッシュバックがきた。

わたしはコップに水をくみ、部屋にはしる。部屋にも薬が置いてある。

 いまはお兄ちゃんにかまっていられない。




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