私のしあわせな結婚

第１話

時は、2023年４月９日の昼前であった。

場所は、名鉄本笠寺駅のコンコースにて…

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

コンコース内に女性の強烈な悲鳴が響き渡った。

コンコース内で18歳の女性がナイフを持った男に刺されて死亡した事件が発生した。

おぞましい惨状を目の当たりにした女性は、強烈な悲鳴をあげたあとその場に座り込んだ。

それと同時に、プラットホームから男性の叫び声が響いた。

「コラ!!あぶないぞ!!」

（キーッ!!ドスン!!）

この時、殺人事件を起こした男が豊橋行きの特急電車にはねられて死亡した。

殺人事件を起こした男は、女々しい声で泣きながら『チクショーチクショーチクショーチクショーチクショー!!死んでやる!!』と言いながらプラットホームを通過した特急電車に飛び込んだようだ。

殺人事件を起こして自殺した男は、29歳の会社員の男であった。

それから30分後であった。

愛知県警の捜査員たち200人が事件現場に到着したあと現場検証を開始した。

この時、捜査員のひとりが女性の遺体のそばに落ちていた小さな紙を発見したと上の人に言うた。

「課長、被害者（がいしゃ）のそばに１枚の紙きれが或りました。」

「なんだそれは…」

「自殺した男が書きのこしたものだと思います。」

女性の遺体のそばに落ちていた紙切れには、自殺した男がカノジョと別れさせられたことに対する不満などがつづられていた。

小松崎の家のせいだ…

小松崎の家のせいで、大好きなカノジョと別れた…

小松崎の娘のせいで、オレの人生はズタズタに壊れた…

遺書を読んだ刑事長（デカチョウ）は、捜査員に対して娘さんの家に電話しろと言うた。

言われた捜査員は、スマホを取り出したあとすぐに電話をかけた。

またところ変わって、名古屋栄（さかえ）の本通りにあるワシントンホテルプラザにて…

時は、午後12時50分頃であった。

この日は、小松崎恒興房江夫婦（こまつざきつねおきふさえふうふ）（60代）の長女・房代（ふさよ）（33歳）の挙式披露宴がひらかれる予定であった。

新婦の控室には、純白のウェディングドレス姿の房代（ふさよ）と和装の慶祝服姿の恒興（つねおき）と房江（ふさえ）の３人がいた。

純白のウェディングドレス姿の房代（ふさよ）は、テーブルに顔を伏せた状態でくすんくすんと泣いていた。

「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

恒興（つねおき）と房江（ふさえ）は、ものすごく困った表情で房代（ふさよ）をみつめながらつぶやいた。

なんで泣いているのだ…

お嫁に行くのじゃなくて、オムコさんを迎えるのだよ…

おとーさんとおかーさんは、ものすごく困っているのだよ…

たのむから泣き止んでくれぇ〜

挙式開始５分前になった時であった。

この時、ウェディングプランナーさんがものすごくオタオタした表情で控室にやって来た。

「小松崎さま!!ご両家のみなさまをいつまで待たせるのですか!?大急ぎでチャペルにお越しくださいませ!!」

恒興（つねおき）は、ものすごく困った表情でウェディングプランナーさんに言うた。

「ワシらも困っているのだよ〜…（新郎）くんと連絡が取れないからものすごく困っているのだよ〜」

恒興（つねおき）の横にいた房江（ふさえ）がものすごい血相で怒り狂った。

「あなた!!」

「なんぞぉ〜」

「こんな状態で挙式を挙げるのは無理よ!!」

「中止にしろと言うのか!?」

「ええそうよ!!」

「なんで中止にするんぞ!!代わりの日はないのだよ!!」

「代わりの日を取ることよりも、房代（ふさよ）の気持ちを優先してよ!!」

「言われなくても分かっている!!」

「だったら中止にしてよ!!」

「代わりの日がないのにどうしろと言うのだ!?」

「そんなことよりも、起史（たつし）の結婚はどうするのよ!!」

房江（ふさえ）が言うた言葉に対して、恒興（つねおき）はものすごく怒った声でハンロンした。

「起史（たつし）が勤務している会社は社内恋愛推進会社だから大丈夫と言うたじゃないか!!」

「それじゃあ、起史（たつし）は嫁さんは必要ないと言いたいのね!!」

「そんなことはひとことも言うてない!!」

「あなた!!起史（たつし）は39歳よ!!男性の39歳と40歳は違うのよ!!」

「だからどうちがうと言うのだ!?」

「あなたが自然の流れにまかせたらいいと言うたから起史（たつし）にお嫁さんが来なくなったのよ!!ダメ親!!」

「オドレよくもワシをグロウしたな!!」

逆ギレを起こした恒興（つねおき）は、手当たり次第にあった物を房江（ふさえ）に投げつけようとした。

この時であった。

ホテルの男性スタッフさんがコードレスホンの子機を持って控室にやって来た。

「小松崎さま、警察署からお電話がかかっています…」

「うちが出ます。」

房江（ふさえ）は、男性スタッフさんから子機を受け取ったあと話した。

「もしもし…小松崎の妻でございますが…えっ？…分かりました…すぐにまいります!!」

この時、房江（ふさえ）は１時間ほど前に名鉄本笠寺駅で発生した殺人事件の容疑者の男が房代（ふさよ）と結婚する予定だった新郎であることを聞いた。

知らせを聞いた房江（ふさえ）は、ものすごく怒った声で恒興（つねおき）に言うた。

「あなた!!」

「なんぞぉ!!」

「警察署から知らせが来たわよ!!」

「警察署からなんの知らせが来たのだ!!」

「（新郎）くんが名鉄の駅で殺人事件を犯したあとプラットホームで飛び降り自殺をしたのよ!!」

房江（ふさえ）からことの次第を聞いた恒興（つねおき）は、顔が真っ青になった。

房代（ふさよ）の結婚相手が名鉄本笠寺駅で元カノを殺したあとプラットホームで飛び降り自殺をはかった…

これにより、せっかくまとまった縁談（ハナシ）がワヤになった。

「ワーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

知らせを聞いた房代（ふさよ）は、よりし烈な声をあげて泣き叫んだ。

時は、夜10時半頃であった。

またところ変わって、名古屋市中村区城主町（おわりなかむらじょうしゅちょう）にある特大和風建築の家にて…

家は、恒興夫婦（つねおきふうふ）の家族が暮らしている家であった。

家の大広間に恒興（つねおき）と房江（ふさえ）がいた。

房代（ふさよ）は、部屋に閉じこもっていたので大広間（ここ）にいなかった。

部屋に閉じこもっている房代（ふさよ）は、ビービービービー泣いていた。

やっぱりよくなかったみたいだ…

前厄（31歳ぐらい）の時からコンカツを始めたことがよくなかった…

この２年の間、お見合いを500回したけど全部断られた…

501回目のお見合いで、房代（ふさよ）のことを大事にできる人に出会えた…

それなのに、相手の男が元カノに対してストーカー〜殺人事件を犯した…

男は、小松崎（うちら）が元カノと別れさせたと遺書に書いた…

小松崎（うちら）は、（男）くんのためを思って（元カノ）と別れてくれと言うたのだ…

（男）くんがケーサツからケーコクを受けたと聞いた時に、小松崎（うちら）は（男）くんの気持ちを楽にさせてあげたいと思ってあれこれと動いたのだぞ…

（男）くんは、小松崎（うちら）の気持ちをふみにじった…

許さない!!

恒興（つねおき）は、全身をぶるぶると震わせながら怒り狂った。

その時であった。

（バーン!!）

玄関の方でより激しい音が響いた。

「オドレ!!帰ったぞ!!」

つづいて、男の怒号が響いた。

怒号の主は、長男・起史（たつし）（39歳）であった。

起史（たつし）は、四国に本社がある社内恋愛推進会社に勤務していた。

しかし、この最近不調なので勤めを休んでいた。

社内恋愛推進会社だから、じっとしているだけでもかわいいＯＬさんと出会えるよ…

恒興（つねおき）がそのように言うたので、起史（たつし）は社内恋愛推進会社に就職した。

大学卒業後、起史（たつし）はひたすらガマンを通して働いた。

しかし、ここへ来て限界が来たようだ。

起史（たつし）は、帰宅してそうそうに恒興（つねおき）のこめかみをグーで殴りつけた。

（ガツーン!!）

房江（ふさえ）は、ものすごく泣きそうな声で起史（たつし）に言うた。

「起史（たつし）!!なんでおとーさんを殴るのよ!!」

起史（たつし）は、ものすごく怒った声で言い返した。

「落ち度があるから殴った!!」

起史（たつし）に殴られた恒興（つねおき）は、ものすごく女々しい声で『こらえてくれぇ〜』と言うた。

起史（たつし）は、ものすごく怒った声で言うた。

「オレ!!ショッケン（日本食研）をやめた!!」

「ショッケンをやめた!?」

「ふざけるな!!オドレらが『社内恋愛推進会社だから…』と言うたからショッケンに入ったけど、身の丈に合う相手に出会えなかった!!だからやめた!!」

恒興（つねおき）は、女々しい声で言うた。

「なんで待てないのだ…じっと待っていれば自然に出会えると言うたのに…」

房江（ふさえ）は、ものすごく怒った声で恒興（つねおき）に言うた。

「あなた!!その言葉を房代（ふさよ）にも言うたわね!!」

「言うたよ…」

「あなたが言うた言葉のせいで、房代（ふさよ）の縁談が壊れたのよ!!どうしてくれるのよ!!」

思い切りブチ切れた起史（たつし）は、恒興（つねおき）をボコボコに殴りつけた。

同時に、房代（ふさよ）の泣き叫ぶ声が響き渡った。

房江（ふさえ）は、起史（たつし）が怖いので止めることができずにその場で震えながらつぶやいた。

大失敗した…

自然の流れに任せた方がいいと思って時期を待ったのがよくなかった…

前厄の時に房代（ふさよ）がお見合いしたことがよくなかった…

起史（たつし）にお嫁さんが来なくなったら、どうすればいいのよ…

つらい…

ものすごくつらい…