第13夜 空の向こうの雲の彼方

 私は男が好きだ。



 そんな自分には、どうしてか妻がいる。



 私が同性が好きだという事を分かっていて、その上で一緒になりたいと言うのだ。



 もう何年も彼女と一緒に生活しているが、一度も触れた事はない。



 そんな関係がどこか心地よかった。



 しかし、些細な喧嘩をした翌日。



 探さないで下さいと書かれた置き手紙がテーブルに置かれてあった。



 私は泣いた。



 触れた事もない彼女の大切さを、今知った気がした。

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