光源の森 -Kougen no mori-

Ringo

Episode -1-①

小さな村に、朝の光が差し込む。

今日で14歳の誕生日を迎えるカーラは、朝早くから母親とバースデーケーキや、パーティーの準備をしている。

「ママ!イチゴはこの場所で良いかな?」

「そうね、もう少し中心に寄せたらどうかしら。」

カーラは昔から几帳面で、とても真面目な性格だ。

バースデーケーキのイチゴのレイアウトにも一生懸命取り組むカーラを、母親であるレイは温かく見守っている。


                  ・・・


「「出来た!!」」

気付くと、午前5時に起きてケーキのデコレーションを始めてから2時間半も経っていた。

7時30分。

カーラはバースデーケーキを可愛らしい箱に入れて冷蔵庫にしまって、パーティー用のドレスに着替えた。

「あらやだ、もう朝ご飯を作る材料がないわ…」

「私、買いに行ってくる!いってきます!」

そう言ってカーラは買い物に出た。


外に出ると、もう既にたくさんの屋台が出ていて、たくさんの人でにぎわっている。

「とっても良い香り…あっ、デオさん、おはようございます!」

良い香りをたどっていくと、村のパン屋のデオに出会った。

「おはようカーラちゃん、誕生日おめでとう。」

「ありがとう!今日から14歳なの!!」

元気で素直なカーラは、村中で愛されている。

「どれも美味しそう…このレーズンパンを5つ、ください」

「まいどあり、はいこれね。1つ、オマケ付けといたからね」

最後にデオが小声でそう言った。

カーラはそっと、受け取ったパンの紙袋を除いた、

中には、買ったレーズンパンともう1つ、可愛らしい動物の絵が描かれた、小さなクッキーが入っていた。

「ありがとうデオさん!」

カーラは紙袋を大事に抱え、市場を去った。

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光源の森 -Kougen no mori- Ringo @ringogreen

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