第7話 もう一度追いかけてもいいですか

俺は温涼ウェンスズミに会いたくない、これは誠実な気持ちだった。


逆に思うこともある、それは、今の俺は、彼女との毎回の出会いを心から大切にしたい。


人はその人に対する印象は理解が深まるにつれて、ゆっくりと変化していく、俺が言った「希望」とは、彼女に合うたびに、記憶の中にあるあの柔らかさの彼女、あの消え去った彼女を見つけることができるという希望だった。


しかし、人間の感情は最終的に悲観と失望に何度も疲れ果ててしまうので、だから、俺は温涼ウェンスズミと会う回数が減り、接触回数を減れば、再会したときに『彼女』は別の彼女に完全で取り憑かないないと思った。


せめて、俺が愛しているあの「月」はまだ心の海で小さな光を放つことができる。


それが俺の「希望」であり、俺の唯一の輝きでもある。


「お兄ちゃん、食べないの?」


姜惜兮キョウシーシーは、ストロベリーアイスを食べて、スプーンを口にくわえていました。


少年は我に返って微笑み、「食べるよ、ちょっと別のことを考えていた、ところでシーちゃん、何かやりたいことある?」と言いました。


「やりたいこと?」と少女は呆然のように聞いた。


「ずっとやりたいと思っていたのに、やったことのないことさ」


「あるじゃある……でも……ちょっと思い出せない……」


姜惜兮キョウシーシーは唇をすぼめて考えようとし、ついに首を横に振った。


「俺はある」


「なに?」


姜惜兮キョウシーシーは目を大きく見開いて不思議そうに尋ねた。


「今日は映画に連れて行ってあげたい…」


「え?よしっ!!」


姜惜兮キョウシーシーは、これは自分にできないことではないと感じているが、この提案を聞いてとてもうれしかった。


恋に落ちたばかりの彼氏と一緒にもっと時間を過ごしたくなのは誰でもあるでしょう!


俺が聞いた後も付け加え続けただけで、姜惜兮キョウシーシーの心はさまよいました。


「それじゃ、明日は港に連れて行ってあげるよ。まずは一日食べて遊んで、夜は浜辺で花火を打ち上げるのが聖地って聞いたよ!港町のカップル向けの場所でずっと行きたかった…」


彼はますます計画を言い、まるでこれらのカップルの間でよくやることは彼がずっと企んでいたようだった。


本来ならなんの問題もなかったが、でも彼がこのように振る舞うほど、少女の心がますます混乱し始めた。


「やりたいと思っていたのにできなかったこと…」


今日の温涼ウェンスズミに会わなければ、姜惜兮キョウシーシーは世界で一番幸せな人になるはずだと思っていたが、今は「彼はあなたをあの人の代わり」という言葉がまだ耳に残っている。


これにより、少女は得失を心配するようになりました。


彼女は一度大胆にならざるを得ず、彼のとりとめのない「愛情」のアイデアを中断しました。


「お兄ちゃん…」


「まだこれも…どうしたの?」


俺は言葉の半分を口に含んで、恋人同士の小さなロマンスは、姜惜兮キョウシーシーが好まない理由はないと思った。


「確認したいだけど……私……本当にあなたの彼女なの?」


姜惜兮キョウシーシーは頭を下げ、指で落ち着かずに冷たいプラスチックのカップを撫でた。


「そうよ!」俺ははっきりと答えた。


「それなら、私を好きで、愛しているに違いないよね?」


少女は安堵しそうで息をつき、頭を上げて微笑みながら聞いた。


これは当然のことであり、姜惜兮キョウシーシーもまた、「もちろん」、「確かに」、さらに単純に「愛」だけで十分など、自然な答えが得られると感じている。


しかし、今まで雄弁だった彼は突然凍りつき、姜惜兮キョウシーシーの笑顔も落ち、彼女は再び頭を下げて話しませんでした。


「俺、今言った計画はちょっと怖かった?急かないよ、ゆっくりでいいよ、まだ時間がある、まだ時間が…」と俺は笑顔を作った。


声の強さから弱さへと変化し、最後には俺自身が落ち込んでしまった。


まだ嘘について深いわけを持っているから。


「……」


「ごめん……」


しばらくすると、この言葉が口から出てきて、息をついた俺は、姜惜兮キョウシーシーに恋に落ちる前に真実を聞かれてしまった。


「大丈夫よ……」


姜惜兮キョウシーシーは下げた頭を素早く振り、頑固に言った。


「つまり……お兄ちゃんは、愛してくれなくても構わない……」


姜惜兮キョウシーシーは頭を下げ、涙が簡単には落ちないだろうと考えて、目をできるだけ大きく開けようとしたので、すすり泣きました。


「でも……そうすると……お兄ちゃんとそんなことはできない……だって、お互い好きな二人は……こういうことをする意味はある……」


少年の目は暗く陰気で、最初から最後まで好きな人には優しくしたかったが、それが他人を傷つけるとは思っていなかった。


彼の愛は「まだ生きているの?」という言葉で始まり、「とても愛している」という言葉で終わり、このような感情は常人とは正反対であり、彼はこの言葉に反応するのを待ちきれません。


しかし、誰かが本当に彼に応答するように頼んだとき、彼は突然理解しました…


これを言うのがどれほど難しいか。


姜惜兮キョウシーシーは大変優しい子で、こん時でも気性を失うことはなく、むしろそのような話しを少し後悔したことさえありました。もし疑うことがなければ、すべてがうまくいくはずだった。


少なくとも、先輩の「彼女」であり続けるのみ、少なくとも、憧れの人と一緒にいることができるのに。


今は、温先輩の言われたように、自分は本当にバカだった。


賀兄ちゃんとの恋はたったの一日で、まだ彼にフィンガースタイルの弾きコツを聞いていないし、やりたいと思っていたのに、できなかったことが本当にたくさんあるのに…


そう思うと、あらゆる不満が一瞬にして押し寄せ、肩が震え、大声で泣きそうになったが、その瞬間、低い頭の上に手のひらが優しく撫でた。


姜惜兮キョウシーシーはついに、命を救う浮き輪をつかんだようで、大きな手をつかんですすり泣きました。


「アイコンを変えたくない…」


「うん」


「私も一緒に動画撮りたい…」


「いいよ」


「ただの妹にはなりたくない…」


「元々妹ではない」


「あなたと別れたくない…」


ここまで言って、姜惜兮キョウシーシーは突然話しを止め、頭を上げて彼の表情を見ました。


もし、今は別れたくないと言ったら、おそらく彼も「いいよ」というでしょう!しかし、前の質問が肯定的に答えられない限り、彼らが一緒にいることは意味がありません。


「お兄ちゃん……もう一度真面目に追いかけてもいい?」


このとき、姜惜兮キョウシーシーの頑固な目は俺に深く印象を与え、温涼ウェンスズミのようにじっくりとこの無邪気で勇敢な少女を見つめたことがありませんでした。


彼女はとてもかわいらしく、小さな顔に口角がわずかに上向きで、いつも笑っているようで、泣いた後でも、それほど悲しくないと思わせる。


その名の通り、呼ぶといつも思わず笑顔になってしまう。


彼女がもし今度どこが好きと聞かれた場合、俺はどのように答えるかをわかった。


では、今度にする。


「授業中じゃダメよ!」と俺は笑顔で返した。


「うん!」姜惜兮キョウシーシーは力強くうなずいた。


こうして、ばかばかしい告白は、真剣な約束でひと休みとなった。


24時間、これがこの関係の持続時間であった。


でも、どんなに短い時間でも、どんなに二人が戸惑っていても、愛の魔法はこうして、必ずどちらか一方をはっきりさせられる。


そして、俺はいつも置き去りにされた一人であった。

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