第8.5話 6日後②
映画を見た後、号泣していた凛花さんだったが、今度は何やら暗い表情になった。
「大丈夫?凛花さん」
「う、うん!大丈夫だよ!い、いやーやっぱり評判なだけあってすごい泣けるねー」
そう言いながらも、彼女の顔にいつもの笑顔は戻らない。その後、僕らは昼ごはんを食べた。すると、彼女は落ち着いたようで笑顔が戻ってきた。
「ふぅー、ようやく落ち着いたよ!もう大丈夫だからさ、ショッピングしようよ!」
「うん!ショッピングも良いけどさ、ゲームセンターなんてどうかな?」
「うん!それ、いいね!じゃあ行こう行こう!」
「そんなに急がなくても…まだ沢山これからも時間があるんだからさ」
「…時間は有限なの!だからさ、ほら急ご!」
そう言っている彼女はどこか儚くて無理矢理笑っているような、今にも崩れそうな笑顔だった。でも、僕にはそんな彼女にかけれる言葉は見つからなくて、
「…そうだね、急ごう」
と言って、凛花さんに同調するしかなかった。
それから、ゲームセンターに着くと段々とまた彼女の顔にも笑みが戻って来た。何をしようかなぁ、なんて考えていると、彼女が
「私、プリクラ撮りたい!こういうのって、確か恋人同士モードもあるんだよねー!だからさ、透君!一緒に撮ろ?」
「うん、じゃあ入ろっか」
「やったー!」
そう言って、僕らは中に入る。僕はプリクラの撮り方なんて分からないから、設定は凛花さんに任せた。
「じゃあ撮るよー!ポチッ!」
すると、機械からアナウンスが聞こえて来た。
「恋人モードで撮るよー!しっかりと近づいてねー!3、2、1!」
カシャッという音が鳴って写真が撮れた。そこから、盛ったり、デコレーションしたりするらしい。それも、凛花さんが手早く済ませてくれた。正直僕はこういうのは全く分からないので助かる。
「ほら、出来たよ!はい、これが透君の分ね」
渡されたプリクラを見ると、特に加工されてはいないが、代わりに何やら文字が書かれていた。
"4/12日 2人で映画デート記念日!"
なるほど、これは確かに良い記念になりそうだ。
そして、次はクレーンゲームをする事になったのだが…
「ありゃ、また取れなかったー」
さっきから、一つもとれていないのである。確かに、アームの力が弱いのもあるのだが、それ以上に凛花さんが下手なのだ。僕は見ていられなくなって、彼女にアドバイスをする事にした。
「こういうのはアームの力が弱いから、アームで直接取るんじゃなくって…こうやって取るんだよー」
そう言って、僕は先程から彼女が取ろうとしていた可愛いぬいぐるみを取った。
「おー!透君すごい!」
「そんな事ないよ… それよりもこれ、あげるよ、欲しかったんでしょ?」
「…うん!ありがとう、透君!」
その後も少し僕らはしばらくゲームセンターで遊んでから、僕らは家に帰った。
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