第24話 ここで会ったが(後編)
「いやにゴーレムばかり出現する……イミルはもうこの山に来ているんじゃ……」
ネルトゥスの山に登り始めて10分とたたないのに、今までクレイゴーレム3体にストーンゴーレムにまで遭遇している。ほとんどはリディアがとどめを刺している。
まずはオーディンに合って事を話さない限りは、この地方を離れることはできない。ジェロムたちは彼に王位を返させてやりたかったし、できれば味方に加わって一緒に戦ってもらいたかった。
「鍔の広い帽子に青いマントときたか……人一人でもいれば聞くこともできるけどな。こんな危険な所に住んでる奴がいるわけないし……おっと、またゴーレムか!」
今度のはアイアンゴーレムだった。三人とも戦闘態勢に入る。と同時に敵の後ろ、誰かが頭上に姿を見せる。左手の大剣が見事、真っ二つに敵を斬り裂いた。
「おっ! 誰だあいつは、すげえな……」
大剣を持った剣士は右腕をおさえて息を切らせている。しかも泣いている。
「ううっ……痛いよう……」
「もしかするとあの人……ワルハラの都で……ホラ、あんたと一緒にいた!」
「フレイ!?」
ジェロムが駆け寄って顔をよ~く見れば、やっぱりフレイだ。大剣はティルのアヴェンジャー。
「はれ? ジェロムさんも来てたん……ですか?」
「そうか、お前もイミルを追っかけて来たわけだな? ずいぶん強くなったもんだな。左手一本でそんな剣を使うなんて、俺より力あんぜ。でも性格は全然変わってねえ。右腕……それって、ただ少し斬られただけじゃねえの。なに泣いてんだよ」
「これは……さっき自分の剣で少し……」
相変わらず情けないフレイ。
ジェロムたちはフレイと別れてからのいきさつを話した。トールの事……武術会……ロキの暗躍……ヘイムダルの正体、そして消えたこと……インナーライト……フェイたちとの事……いろいろあった。
そしてフレイの方はというと、ウトガルド王国のガートルード姫との結婚も決まり、そのきっかけとなった手紙を渡したスキールニルは独立、褒美として受け取ったミドガルド王家の剣シグルスヴェルズを持って諸国を旅しているとか……イミルが都に置いて行ったミスリルゴーレムを倒したとか、そんな話を聞かせてくれた。
「……そんなわけで結婚は決まったんですけどね。僕もいろいろ大変でしたよ」
「あの……またクレイゴーレムが来た……三体も……」
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