第二章 武闘会
第9話 探し者は……
港町エンブラにもどり、フレイアに胸甲を買った後、三人は船へ乗った。
「のあよぉ……ところで船は誰が
「知らん。オレは砂漠の砂船と雪上船しか操れんのだ」
「仕方ないわね……みんなで何とかしましょう」
ジェロムとヘイムダルはフレイアについて船室へ入った。
船室では変な男がフレイアの荷物をゴソゴソいじくり回していた。
「だ……誰なの!?」
「下着ドロボーか……!?」
「ちがう!! 俺様は
「ドロボーには変わりねーじゃねーか!!」
「ドロボーじゃなくて
「結局同じようなもんじゃねーか!!」
「落ち着け、ジェロム。さあ海賊さんよ、話を聞かせてもらおうか?」
海賊という男は話し始めた。
「俺様はトール・チェンバレンっていうんだけどナ、さっき言ったとおり
そん中にあった冠を
「
「おお、知ってたか~! ジェロムさんって言ったっけな、会ってすぐこんなこと頼むのも申しわけねーと思うけど俺様をヘルに連れて行ってほしいんだよ!」
「……いいですよね? ジェロムさん、ヘイムダルさん」
「オレはかまわないが……どっちみちヘルに行くんだろう?」
「いいってよ! トールさん、その代わり舵とってくれっかな?」
「もちろんよ! 海賊だぜ、俺様は!!」
トールを加え、四人は南東のヘル帝国へ船を進めた。
「もう参加者はいないのですか?」
「それは……あのオーディンが参加するとなればどんな戦士とて
「するとあと4名足りませんね、ロキ」
……ヘル帝国首都パンデモニウム、武闘会予選開始20分前、
「……皇帝、たった今3名参加者が……」
「ええ、聞いています。……ジェロム・フォン・フィッツジェラルド、トール・チェンバレン、ヘイムダル・ラスプーチンですね。しかしもう時間がありません。ロキ、あなたが参加するのです」
「御意。私の魔法をうち破れる者こそが、この冠を手にするに
「流石に自身はあるようですね」
「……しっかしよお、参加したのはいいけど俺達同士であたったらどうするわけ?」
「俺様は手加減せんからな~」
「三人とも別々のブロックに散ればいいのだが……」
「おっと、もう予選が始まるみてーだぜ」
ジェロムたちは闘技場へ向かった。
「では、これから予選を行います。選手の皆さんは受付でもらった1番から16番までのカードを見て同じ番号の人同士集まって下さい。その4人でバトルロイヤルをして決勝進出者を決めます」
(……バトルロイヤルか……オレは6番だから向こうだな。ヘイムダルは11番だったな)
「俺様は13番……不吉だナ……ま、いいか。すぐそこでやるみたいだし。じゃな、ジェロムさんよ」
ジェロムはトールたちと別れて6番の場所へ向かった。
「予選は素手で戦います。魔法も使用禁止です。ただし闘気は許可します。そして……」
(早く始めりゃいいじゃねーか……)
そう思うジェロムの相手は三人とも格闘士。真っ先にジェロムをつぶそうとにらみつけている。
「……では、試合開始!」
予想どおり、三人はジェロムに向かって来た!
「……というわけで予選の結果、本戦へ出場する16名の選手が決まりましたので発表します!」
【Aブロック】
スタンフォード(拳士・男) VS リズ(拳士・女)
オーディン(騎士・男) VS バスター(忍者・男)
メリル(曲芸師・女) VS ジェロム(勇者・男)
スブラーマニャン(剣士・男) VS ホウオウ(武士・男)
【Bブロック】
ビンセント(戦士・男) VS ロキ(魔導師・男)
ヘイムダル(詩人・男) VS ロード(精霊使い・男)
トール(格闘士・男) VS コヴェントリィ(浪人・男)
アンヌンツィオ(戦士・男) VS フェイ(占い師・女)
「……以上です。本戦は明日から行います。優勝者には皇帝陛下から黄金の冠が与えられます!」
ジェロムが思う。
(やっぱりこん中にカレンがいるなんて期待しない方がよかったか……)
ヘイムダルが思う。
(一体誰が六魔導か……火のスルト……水のアエギル……地のフェンリル……)
* * *
トール・チェンバレン
Thor Chamberlain
28歳/男/海賊
185cm/右利き
特技:酒一気飲み
趣味:ドラム
好きな食べ物:ナマコ
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