日記

第9話 2023年7月31日

　俺はちょっとした縁から『ピダハン――「言語本能」を超える文化と世界観』という本を読んだのだぜ。いい作品だったので、いずれまた詳細を語る機会もあろう。

　だが今は俺の情動をそのまま語ることにする。その本に描写されるピダハンと呼ばれるアマゾン川流域の民族の闊達さは、すなわち彼らの生き様に関わっていよう。実は彼らが、禅の修行を積んだ菩薩だと聞かされても俺は驚くまい。

　イビピーオなあり方で物事を捉え、片手の拍手の音を聞くことすら出来そうな連中は、我らに何某かの特別な視点を与えずには置かないであろう。俺はほんの数千ページのAmzonの本でしか彼らを知らないのであるが、好奇心を惹起するには十分すぎると言ってもよかろう。