特異管理局

月簡

新人研修編

1話 Welcome to the Supernatural Management Bureau. Celebrate with parsley.

 銃声が響き渡る。

「さすがですね!博士」

 助手が声をかけてくる。私は無視して車に乗り込む。厄介な助手だ。煙草に火をつける。

「ちょ、博士、車内で煙草はやめてくださいよ」

「いいでしょ」

 数十分、無言で車を走らせるとある建物……と言っても一般人には「現象」によって見えない、についた。助手とともに車を降りる。

 私の場合は「銃」がキーとなっている。

 殺風景な1階から、私達の部屋がある17階までエレベーターで上る。エレベーターの中で助手が声をかけてきた。

「そういえば、今日新人が入ってくるらしいですよ。俺たちのチームに」

「新人?」

「えーと、もしかしたらもう部屋にいるかも」

 壁の白く塗られた廊下を歩いていくと、私達の部屋の前に小柄な女性が立っていた。

「あ、私、ハルって言います、あなたがその、ミズノ博士と助手の方ですか?」

「あ、そうですよ」

 助手が言った。余計なことは言わなくていいのに。

「あなた、名前的に日本人ね」

「はい、そうです」

「まあいいわ。新人研修ってことね。ついてきて」


「ここは?」

「この先に『パセリ』が収容……捕獲されている」

「パセリ?」

 ハルは何も聞かされていないらしい。なんで説明をこっちに押し付けるんだ、上は。

「研修の内容は簡単。パセリを出すから捉える」

「だからパセリってなんですか?」

「はぁ……。パセリは超常現象を引き起こす物体。この先に収容されているのは、テレポート能力を持つパセリ。それは武器で傷つければ止まる」

「つまり、パセリと戦えと?」

「そういうこと」

 ガラス張りの部屋の中に私たちは入った。

「今からこのパセリのロックを解除する。捕まえて。なんの武器がいい?」

「何があるんですか?」

「なんでも」

「じゃあ薙刀で!」

 私は「自販機」のそばに寄っていった。

「薙刀を一本頂戴。私のつけでいいわ」

 そう言うと、自販機から薙刀が出てきた。それをハルに渡す。

「さっすが薙刀!」

「ロックを外していいの?捕まえるのよ」

「いいですよ」

 そう言いながらハルは笑った。私は部屋の外にあるロックを解除した。

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