第4話 『……至れり尽くせり過ぎでは??』


 九条さんがあまりに挑発めいた事を言うから、俺はタガが外れて……そのままヤッた。


 九条さんは、イヤがらなかった。


 俺が、キスしても、触っても、脱がせても。


 何をしてもいやがることはなくて、ただ俺からの刺激に甘い声を漏らして身体をくねらせ受け入れた。


 九条さんとのその行為は……夢かと思うほど気持ちよくて、


 夢だと思えないほど、声も感触も刺激も、リアルで。


 脳天揺さぶられるくらい、可愛かった。



 『めちゃめちゃにしていいよ』


 あんなこと言うから……


 九条さんより先に目を覚ました俺の目の前には、まだ、崩れた着衣のままの九条さんが眠っていて、

その姿は、完全に”事後” である事を物語っていて。


 ……見た目清楚なくせに……実は九条さんは、誰にでもそんな事言うのだろうかと、少し、嫉妬した。


 ……あ、でも俺の熱……下がったかも


 九条さんが作ってくれたご飯と薬のおかげかな。

今のうちに、シャワー浴びてこよう。


 俺は九条さんにそっと布団をかけ直すと、ベッドから抜け出した。


 ……部屋の中は見違えるくらい整っていて、溜まっていた洗濯物はきれいに洗濯されていて、おまけにワイシャツにアイロンがけまでされていた。


 冷蔵庫の中にはスポーツドリンクと、桃缶やプリンのほか、シチューが作られていて。“もし食べられたら食べてね” と、キレイな字でメモが添えられていた。


 ……至れり尽くせり過ぎでは??


 シャワーを浴びながら、考える。これは、夢じゃなくて現実だ。


 でも、なんでこんな夢みたいなことが?


 俺には全く身に覚えがない。俺は別にイケメンでもなければ仕事が特別出来るわけでもない。九条さんとは仕事上の付き合いのみで、恋愛に発展するような会話なんてした事もない。


 彼女がいた事くらいはあるが、それは”いた事がある”と言うほどのレベルで、決してモテるわけでも大恋愛をした事があるわけでもない。


 それに反して九条さんは、男なら誰もが憧れるような清楚系美人で、気が利いて、優しくて……憧れている人は多い。


 そんな九条さんがこんな至れり尽くせりしてくれて、俺はそんな九条さんと……ヤッたのか?


 うそだろ、俺、熱で朦朧としてたけど、してる時の九条さん……めちゃめちゃ可愛かったんだけど。


 『めちゃめちゃにしていいよ、私のこと』


 あまりに破壊力のある言葉がまた脳内に響き渡って、俺はまた堪らなくなった。


 ……う、このままじゃ九条さんの顔見れない。


 俺は少し長めのシャワーを浴びた。

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